ジャンプお馴染みのガッカリ展開 メインヒロインと結ばれない主人公たち

ジャンプお馴染みのガッカリ展開 メインヒロインと結ばれない主人公たち

ジャンプお馴染みのガッカリ展開 メインヒロインと結ばれない主人公たち (C)PIXTA

ヒロインと主人公がいかにして恋人になるのか…。そんな甘酸っぱい要素が、少年漫画の魅力の1つとなっていることは間違いないだろう。しかし『週刊少年ジャンプ』の連載作品に関しては、なぜかメインヒロインが主人公と結ばれないパターンが多い。

読者を震撼させた最終回

久保帯人の『BLEACH』では、約15年にわたって主人公・黒崎一護の恋愛模様が注目を浴びた。

誰をメインヒロインとするかは見解が分かれるだろうが、一護が死神になるきっかけを与え、相棒として共に日々を過ごした朽木ルキアとゴールインすべきだというファンは多かったようだ。

しかし現実はそうはいかず、一護は高校のクラスメイトと、ルキアは幼馴染みの死神と結ばれるというエンディングを迎えている。

同じく長期連載だった『NARUTO』も、カップリング論争が絶えない作品の1つ。うずまきナルトは初期から春野サクラへの恋愛感情をアピールしていたが、最終的に日向ヒナタと結ばれ、一方のサクラはうちはサスケと結婚した。

ほかにも『ワールドトリガー』の雨取千佳など、メインヒロインかと思われたキャラクターが、主人公とは別の男性とフラグを立てるケースは多い。さかのぼれば、『ドラゴンボール』の孫悟空とブルマもこのパターンに当てはまるだろう。

なお、こうした描写はとくにバトル漫画で顕著に見られるように思われる。恋愛ドラマに重きを置くと物語がブレるため、あえてヒロインとの関係性を掘り下げないという展開が定着したのかもしれない。

そう考えると、「ドラゴンボール」のようにヒロインが主人公のライバルと結ばれるという展開は、画期的な発明だったのではないだろうか。

「ジャンプ」はメインヒロインが報われない?

ただ、「ジャンプ」で主人公とメインヒロインが結ばれない現象は、バトル漫画のみならずラブコメでも時折発生している。

たとえば典型的なのが、矢吹健太朗の『To LOVEる -とらぶる-』だ。主人公・結城梨斗の家に転がり込んだ宇宙人のララがメインヒロインかと思われたが、スピンオフ『To LOVEる -とらぶる- ダークネス』のラストで、梨斗は別のヒロインを選んでいる。

また、イレギュラーだが『ぼくたちは勉強ができない』も、厳密にはメインヒロインと結ばれていない。登場したヒロインほぼ全員とゴールインするという“ifルート”を採用し、メインヒロインを優遇する風潮に革命を起こした。

さらに読者に衝撃を与えた作品といえば、河下水希の『いちご100%』だろう。主人公の真中淳平は、東城綾と出会ったことで華々しい青春をスタートさせたが、最終的にゴールインしたのは別のヒロインだった。

『いちご100%』19巻のあとがきで、作者の河下水希は東城が選ばれなかった理由について言及。もともと真中と東城のエンディングを考えていたそうだが、連載を続けるうちに、ほかのヒロインが物語の中で想像を超える成長を遂げたのだという。

メインヒロインだからといって、作者に優遇されるとはかぎらない。ジャンプ作品のヒロインレースは今後も変わらず熾烈を極めそうだ。

文=野木

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