“ジャニーズ性加害問題”再発防止特別チームが会見で語った「ジュリー氏の辞任」「同族経営の弊害」「被害者への謝罪」「マスメディアの沈黙」【調査報告書抜粋】

前検事総長の林眞琴弁護士 (C)まいじつ

ジャニー喜多川氏の性加害問題をめぐり、ジャニーズ事務所が設置した「外部専門家による再発防止特別チーム」の弁護士・林眞琴氏、精神科医・飛鳥井望氏、臨床心理士・齋藤梓氏の3人が8月29日、調査報告書を公表し、都内で会見を開いた。

調査は2023年5月26日から8月29日にかけて、41名の被害者およびジャニーズ事務所関係者などにヒアリングを実施。また、関係資料を調査し、専門窓口が設置された。

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会見会場で配られたのは、67ページの調査報告書と、1枚の「調査報告書の概要」だった。

事実関係において、調査報告書の概要では《本件調査の結果、ジャニー氏は、古くは1950年代に性加害を行って以降、ジャニーズ事務所においては1970年代前半から2010年代半ばまでの間、多数のジャニーズJr.に対し、 長期間にわたって広範に性加害を繰り返していた事実が認められた》と発表している。

左から飛鳥井望氏、林眞琴氏、齋藤梓氏 (C)まいじつ

ジャニーズ事務所の公式HPには調査報告書の全文が記載されているが、本稿では会見で触れられた箇所を抜粋していく。

「メリー氏は性加害を認識していたと推認するのが合理的」

まずは目次の「第2 事実関係 3 性被害 (1)ヒアリング結果」。ここにはヒアリングで聞いた性被害について24の項目が並べられている。詳細な記述は避けるが「合宿所で…」「ホテルの部屋で…」と具体的な内容が綴られていた。

次に「第2 事実関係 3 性被害 (4)性加害に関する認識」という箇所。会見では少ししか触れられていなかったが、報告書にはメリー喜多川氏について、

《メリー氏は、既に 2021 年に死去しているため、ジャニー氏の性加害について認識していたかどうかを直接確認することはできない。
しかしながら、メリー氏とその弟であるジャニー氏との間には、ジャニー氏の幼少期に母親が亡くなって以降、 メリー氏がジャニー氏の母親の役割を果たしてきたという家族としての深く緊密なつながりがあり、また、仕事の面においても、両名は、ジャニーズ事務所の共同創業者として役割分担をしながら会社経営の全般を担っていたという緊密な関係にあったのであり、これに加え、以下の各事実を総合的に判断すると、メリー氏はジャニー氏の性加害を認識していたと推認するのが合理的かつ自然であると考える。》

と明記されている。文章後半の「以下の各事実」については7項目「1960年代の新芸能学院での性加害」や「1980年代の暴露本」「1999年の週刊文春による性加害報道」などが挙げられていた。

また、「第2 事実関係 3 性被害 (4)性加害に関する認識」では、現社長の藤島ジュリー景子氏について、

《ジュリー氏は、ジャニー氏の性加害が本当にあったと思うようになったのは、(カウアン)オカモト氏らに実際に会って話を聞いた時からであり、それまでは被害者の人たちから直接性加害の話を聞いたことがなかったため、ジャニー氏の性加害に関する具体的な認識はなかったと供述している。
他方、ジュリー氏は、1998年3月の取締役就任前に既に出版されていた暴露本を認識していたほか、1999年10月に週刊文春で連載が開始されたジャニー氏による性加害の特集も認識していた。したがって、ジュリー氏は、取締役就任時頃には、ジャニー氏によるジャニーズJr.に対する性加害の疑惑について認識していたと認められる。しかし、ジュリー氏は、ジャニー氏の性加害の事実について積極的な調査をするなどの対応はとらなかった。》

と書かれていた。後述するが、ジュリー氏について再発防止特別チームは《代表取締役社長を辞任すべきと考える》とも触れている。

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