『葬送のフリーレン』YOASOBI起用はミスマッチ? 軽快な打ち込みサウンドが引き起こす違和感

『葬送のフリーレン』YOASOBI起用はミスマッチ? 軽快な打ち込みサウンドが引き起こす違和感

『葬送のフリーレン』YOASOBI起用はミスマッチ? 軽快な打ち込みサウンドが引き起こす違和感 (C)PIXTA

次世代の『鬼滅の刃』として期待が集まる『葬送のフリーレン』のアニメ第1話が、9月29日の金曜ロードショーで「初回2時間SP」として放送された。はやくも国内外で大きな話題を呼んでいる同アニメだが、YOASOBI が手掛けるOP主題歌に関しては《世界観と合ってない》とも指摘されているようだ。

アップテンポな打ち込みサウンドに違和感?

同作は『週刊少年サンデー』で連載されている、原作・山田鐘人、作画・アベツカサによるファンタジー漫画。勇者パーティが魔王を倒した世界の“その後”を舞台として、1000年以上を生きる魔法使い・フリーレンの旅路が描かれる。

OP曲を担当したのは、現在『【推しの子】』主題歌の『アイドル』が世界的なヒットを記録している人気アーティストのYOASOBI。『勇者』と命名されたその楽曲は、主人公・フリーレンの心の動きなどを表現したものとなっていた。

「ところが話題性抜群のOPにもかかわらず、原作ファンたちの反応は真っ二つに割れています。というのも、『勇者』はYOASOBIの代名詞とも言える打ち込みサウンドが全開となっている楽曲。また現代的なテンポの速い曲調となっており、サビに入ると爽快感のある展開を迎えます。

『葬送のフリーレン』は、中世ヨーロッパ風の世界観で繰り広げられる本格ファンタジー。さらに長命のエルフを主人公に、人間とは違う雄大な時間の流れを描いているのも大きな特徴と言えるでしょう。

ファンのなかには厚みのある壮大な楽曲を求めていた人が少なくないようで、《世界観に合ってない》《何でもかんでもYOASOBI使えばいいってわけじゃない》と指摘されています。もちろん、楽曲自体の評価は安定して高いのですが…」(アニメ誌ライター)

劇伴は重厚感のあるオーケストラサウンド

OPは賛否が割れている一方、劇伴や初回放送用の特別ED曲『bliss』は好評を呼んでいるようだ。作曲に携わっているのは、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』などを代表作にもつアメリカ人作曲家のエバン・コールで、オーケストラの音色を活かした壮大で重厚感のある楽曲となっている。

オーケストラに関しては、ハンガリーのブダペストでレコーディングを実施。また、先に用意された映像に合わせて劇伴を用意する『フィルムスコアリング』という手法も用いられており、『葬送のフリーレン』の世界観を表現するために相当力を入れていることが分かる。

「打ち込みサウンドのOPとは対照的に、本編の劇伴がオーケストラサウンドとなっているため、ギャップが生じている部分もあります。なおさら、同作にYOASOBIを起用した意図が気になってしまいますね。

日本テレビにとっても『サンデー』編集部にとっても、大きな期待を寄せるコンテンツなので、今一番話題性のあるアーティストを起用したのでしょうが、作風が致命的に食い違っていることは否定しがたいのではないでしょうか」(同)

とはいえ、初回放送の平均視聴率は世帯6.8%、個人4.2%となかなかの好成績(関東地区、ビデオリサーチ調べ)。話題作りには成功しているようなので、製作陣にとっては狙い通りなのかもしれない。

文=「まいじつエンタ」編集部

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