性加害を巡る対応と日本エンタメの未来は? 松本人志の騒動とジャニー喜多川氏を“封印”した前例

松本人志 

松本人志 画/彩賀ゆう (C)まいじつ 

週刊文春で告発された性行為強要記事を受け、「裁判に注力するため」活動休止した『ダウンタウン』松本人志が、名誉を回復することはできるのだろうか。その裏側には、昨年巻き起こった旧ジャニーズ事務所を巡る騒動が関係しているかもしれない。

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告発者は文春が明かしているだけで7名に及び、SNSでは過去に被害に遭ったという元タレントの投稿も相次いでいる。松本と吉本興業は当初「当該事実は一切ない」「事実無根」としていたが、告発第二弾で名前が挙がった、たむらけんじは飲み会開催の事実を認めていた。

現在は、性行為に対する同意の有無が争点になっており、当初の「一切ない」との公式見解とはズレが見られる。裁判では「真実相当性」が争点となりそうだ。

「真実相当性とは、司法が『事実』として認定するのではなく、『様々な証言から真実だと思われる』と判断を下すこと。故・ジャニー喜多川氏の性加害疑惑に関する訴訟でも、ここが争点となりました」(芸能ジャーナリスト)

ジャニーズ側は名誉毀損で文春を訴え、120万円の賠償を勝ち取ったが、性加害の一部については「真実相当性」が認められた。俗にいう「ジャニーズが敗訴した」「事実認定されている」という認識は事実と異なるのだが、結果的にこの判断が金科玉条とされ、昨年に断罪されることとなった。

旧ジャニーズ事務所は“ジャニーズ”を封印

ジャニーズ問題では社名変更、組織解体のほか、一部楽曲の封印、『ジャニーズJr.』『ジャニーズWEST』『関ジャニ∞』といったグループ名の変更など、ジャニー氏の痕跡が抹消されている。

「旧ジャニーズ事務所の全舞台・コンサートには、〝エターナルプロデューサー〟としてジャニー氏のクレジットがあった。しかしその名前は、昨年から削除されている。また『ジュニア』の育成システムや、カウントダウンライブのようなタレントの連帯なども否定され、抹消された。旧ジャニーズタレントが『ジャニーズ』という言葉を封印し、配信で口走ったら即謝罪、テレビやライブMCで『アイドル会社』『所属団体』などと言い換えている」(旧ジャニーズライター)

すでにスポンサーやテレビ各局は、松本の出演番組で提供表示をなくすなどの対応を見せている。ここはジャニーズ騒動の時と同じだ。

「今後もメディアやスポンサーは、対応の一貫性を問われることになるかもしれません。まだ松本さんの裁判は始まっていないようですが、ジャニーズの件は司法を通さず、メディアや企業が『性加害に毅然とした対応をする』と自己反省しましたから」(同・ライター)

いずれにせよ、日本エンタメが目に見えて変わってきているのは確かだ。

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