
『仮面ライダーリバイス』セクハラ告発から何も変わらず?『東映』炎上の事後対応に不信感 (C)PIXTA
セクハラや過重労働といった“闇”の部分が発覚し、世間を騒がせた『東映』の炎上騒動。労基署が動くほどの騒動となり、改善に向かうかと思われていたが、いまだ問題は解決していないようだ。当事者の女性が、引き続き現状を告発している。
風化させてはいけない『東映』の騒動
被害を告発したのは、『仮面ライダーリバイス』の制作に携わっていた元社員の女性。撮影現場で男性2人によるセクハラを受けたことや、1日13時間以上の労働、残業代の未払いなどがあり、ストレスで適応障害となったことを訴えていた。
休職するまで追いつめられた女性は、『総合サポートユニオン』の支援を受けて会社側との交渉へ踏み出すことに。そして今年4月、ついに中央労働基準監督署が動き、違法な長時間労働や残業代の未払いに対して、「東映」に是正勧告が出されている。
そうして一件落着となったかに見えたが、実はまだ騒動は終わっていない模様。被害者の女性は8月22日、ウェブサイト『note』にて是正勧告後の現状を記した。
東映元APが長時間労働・残業代不払い・セクハラ等をされていた件について、この約1年間にわたる労使交渉の状況と進捗をまとめました。
拡散のお力添えをよろしくお願いいたしますhttps://t.co/uexes7yoJg— 総合サポートユニオン (@sougou_u) August 22, 2022
同記事によれば、「東映」は是正勧告を受けたことを公式サイトで報告しておらず、「弊社の『働き方改革』への取り組みにつきまして」というプレスリリースを出したのみ。社内に対する通知も不十分で、是正勧告が出たものの「全て是正済み」だと強調するような文書が共有されたのだという。
労基署も特撮ファンも真っ青な対応
さらに残業代の未払いに対しても、「東映」の対応が杜撰だと指摘されている。noteの記事によると、命じられていた支払納期を守らず、労基署の担当者が困惑するほどに支払いが遅れていたそう。
結局、彼女が「総合サポートユニオン」と共に抗議活動したことで、ようやく支払われたようだが、その金額は申告より明らかに少ない額だった。また入金後に是正終了を一方的に言い渡され、「一方的主張の拡散を続けていることから、当社はこれを断じて容認せず、上記の対応とすることにいたしました」などと言われたことも告白している。
被害者に対して誠実に向き合うどころか、むしろ“悪者”扱いしていることが明らかになり、ネット上は騒然。《ライダーも戦隊も好きだけどこれは嫌だ。そりゃプロデューサー育たないよ》《拡散しよう。風化させていいハズがない》《全然覚えとるし、一生忘れないから》《ニチアサファンとして見過ごせない。変わって下さい、東映さん》《色々改善されては来てますが、根っこはまだまだ昭和》といった批判が殺到している。
noteでも言及されていたが、「東映」といえば今年1月に『相棒season20 元日スペシャル』が炎上したことが記憶に新しい。同作では非正規雇用の待遇改善を訴える女性たちが、ヒステリックな存在として演出されていたのだが、このことに脚本を担当した太田愛氏が憤慨。脚本には存在しなかったシーンだとして、悪意のある描写を批判していた。
セクハラ・過重労働の騒動と合わせて考えると、「東映」の社風として、弱者の立場に立つ人々を軽視していると思われても仕方がないだろう。
このままでは「仮面ライダー」などの作品が上辺だけの“綺麗ごと”でしかなく、正義に反しているとも思われてしまいそうだが、いつまでスルーを続けるのだろうか。
文=大獄貴司
【画像】
Kostiantyn Postumitenko / PIXTA