2022年下半期『ジャンプ』打ち切りレースを総まとめ!『マッシュル』『アンデラ』にも危機が…

2022年下半期『ジャンプ』打ち切りレースを総まとめ!『マッシュル』『アンデラ』にも危機が…

2022年下半期『ジャンプ』打ち切りレースを総まとめ!『マッシュル』『アンデラ』にも危機が… (C)PIXTA

『週刊少年ジャンプ』は、読者アンケートによって打ち切りが決まると言われている弱肉強食の環境。2022年の下半期にも、さまざまな作品が無情な結末を迎えていた。今回はそんな半年間の“打ち切りレース”を振り返っていこう。

王道も異色作も消える厳しい戦い

■『ドロンドロロン』(~2022年39号)
2022年8月29日発売の「ジャンプ」39号では、大須賀玄の『ドロンドロロン』が完結。侍の佐々木ドラが心優しい妖怪・クサナギと共に、悪しき妖怪を打ち倒すバトル漫画だった。

2021年11月から連載が始まり、同期にスタートした新連載『アヤシモン』『守れ!しゅごまる』と並んで掲載順が低迷。“ドベ3”と揶揄されたこともあったが、ほか2作が半年ほどで終了したのに対して、同作だけ約9カ月生き残っている。

その理由として、「ジャンプ」らしい王道バトルだったことがよく挙げられており、最終話が掲載された際には、《すごく良かった…ドラとクサナギの友情に涙》《ドロンドロロン面白かったよ。もっと読みたかったな》といった声も。

とはいえ、逆に言えば目新しさに欠けるということでもあり、全36話で打ち切りを迎えた。

■『地球の子』(~2022年40号)
『地球の子』は、独創的な作風によって一部で愛されている神海英雄の最新作。独創的すぎたのか、2022年9月5日発売の40号で完結した。

設定としては、地球を守る使命を負った人間「地球の子」が生まれる世界で、妻子が「地球の子」に選ばれた主人公・佐和田令助の抗いを描くというもの。

家族愛がテーマだったが、愛の力で苦難を乗り越える展開は《独特のスピリチュアルな不気味さがある》《スピリチュアルすぎて、さすがについて行けなかったですね…》と、どうにも読者を戸惑わせていた。

全27話という短さなので、打ち切りに見えるものの、作者の考えは違うらしい。完結号での巻末コメントでは、「大団円!再び素敵な完成品を発表できて幸せです」と語っていた。人気はさておき、満足いくラストを迎えられたようだ。

ポテンシャルの高い新鋭が…

■『すごいスマホ』(~2022年46号)
“令和版デスノート”と期待を寄せられたのが、原作・冨澤浩気、作画・肥田野健太郎による『すごいスマホ』。2022年10月17日発売の46号で完結したが、打ち切り特有の終わり方だったため、読者を落胆させてしまった。

同作は、どんな情報でも検索できる「すごいスマホ」を手に入れた天才高校生・探来田究が、他のすマホ所有者と頭脳バトルを繰り広げるストーリー。ところが最終話ではその戦いの結末は描かれず、尻切れトンボに。

頼もしい仲間ができ、物語の深みが増した矢先の打ち切りエンド。《「すごいスマホ」を打ち切りにしたジャンプ編集部を許すな》《ジャンプ編集部すぐこういうことするから嫌い》と、編集部に対する抗議が巻き起こっていた。

なお、完結編は2023年1月4日発売のコミックス最終巻に収録される予定だ。

■『ALIENS AREA』(~2022年47号)
那波歩才の『ALIENS AREA』は、「ジャンプ」ではめずらしいハードボイルド風の漫画。異星人から超人的パワーを授かった主人公・立浪辰己が、異星人を取り締まる「外事第5課」(外5)の刑事として奔走するSF刑事モノだ。

能力バトルも交えつつ、警察として働く男たちのハードボイルドな戦いと日常が描かれていた。重厚な作風が浸透しつつあったが、2022年10月24日発売の47号であえなく打ち切りに。

全20話での完結は、あまりに短すぎると言わざるを得ない。しかし読者からは、《少年誌というより青年誌の読み味》《そもそもの作風が青年誌寄りな気もする》《作者さん次は少年誌じゃなくて青年誌で書いてほしい》と、他誌への移籍も期待されている。

アニメ化内定のはずが大ピンチ?

新連載が短命に終わるケースが続いた2022年だが、連載期間の長い中堅作品も油断ならない状況だった。

2023年にアニメ化される予定となっている『アンデッドアンラック』と『マッシュル -MASHLE-』が、何度も低い掲載位置を記録していたからだ。

半年のうち、両作とも1回はドベに位置。そうでなくとも、ワースト5にランクインすることが度々あった。アニメが控えているとはいえ、アンケートの結果は思わしくないのかもしれない。

その他、SNSでAdoなど有名人に取り上げられ話題となった『PPPPPP』や、連載3年を超える『夜桜さんちの大作戦』、ギャグ漫画『高校生家族』が危うい掲載位置に落ちる事もしばしば。

次なる打ち切りレースの筆頭が、この中から生まれないことを願うばかりだ。

文=野木

【画像】

Khosro / PIXTA