「PKは運」はウソ? サッカー日本代表がベスト16を突破できない理由

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サッカーワールドカップで決勝トーナメントに進出しても、日本代表はそこからなかなかコマを進められていない。

2022年に開催されたカタール大会もベスト16という結果で幕を閉じた。なぜ日本代表は〝新しい景色〟を見られないのだろうか。

日本代表が初めてW杯に出場したのは、1998年開催のフランス大会。しかし日本は一勝もできず、一次リーグ敗退に終わった。

2002年の自国開催の日韓W杯では、ベスト16を獲得。その後、2010年の南アフリカ大会、2018年のロシア大会でも一次リーグを突破してベスト16を記録した。

そして2022年のカタール大会では、グループリーグで強豪のドイツとスペインを破る大金星を挙げたのはご存じのことだろう。

ところが決勝リーグのクロアチア戦では、1対1で延長戦に。そのままPK戦に突入したが、1対3と大きな点差をつけられて敗北してしまった。

「PKは運」は慰めにならない

結局は今大会もベスト16という結果で、最高記録は塗り替えられていない。にわかサッカーファンは「感動をありがとう」と涙しているが、それは自分が〝サッカーが好きな自分〟が可愛いだけだろう。

一方で長年サッカーをサポートし続けてきた人たちは、最終試合のPKに関する論争を繰り広げていた。試合直後のツイッターでは〝PK下手〟がトレンド入りし、擁護派からは〝PKは運〟といったコメントが相次いでいた。

当然、運も少なからずあるのだろうが、日本代表以外のチームは決して運任せにはしていないことがうかがえる。

例えばカタール大会決勝のアルゼンチン対フランスは3対3という両者一歩も譲らない激闘を繰り広げ、そのままPK戦へもつれ込む形に。

延長戦までにPK2本を含む3本のゴールを決めたフランスのキリアン・エムバペ選手は、キーパーの手をかすめこそすれど、見事にPKを決めている。

また、延長戦までにPK1本を含む2ゴールを決めていたアルゼンチンのリオネル・メッシ選手は、完全にキーパーの動きを読み、逆方向にシュートしてゴールを決めていた。

このように決勝へとコマを進めるチームは、運ではなく実力でPK戦に挑んでいる印象だ。また優勝したアルゼンチンはW杯におけるPK戦で6勝1敗、3位のクロアチアはPK戦4勝無敗という記録がある。

明らかに技術が伴うPKにもかかわらず、日本代表だけが〝運〟のひと言で済ませるのはおかしな話だ。

ちなみにPKを〝運〟で片付けてしまう風潮には、日本サッカー協会(JFA)の反町技術委員長も「『運に任せる』で終わってしまうのではいけない」とコメントしている。

日本代表を労うために〝運〟という言葉を使うのは、逆に甘えを生んでしまうのではないだろうか。

いつまでも運任せなのであれば、〝新しい景色〟など見られるはずがないだろう。

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