中田敦彦が松本人志を名指し批判! ジャニーズ性加害問題に通じる「何も言えない空気」

中田敦彦が松本人志を名指し批判! ジャニーズ性加害問題に通じる「何も言えない空気」

中田敦彦が松本人志を名指し批判! ジャニーズ性加害問題に通じる「何も言えない空気」 (C)PIXTA

『オリエンタルラジオ』の中田敦彦が、とうとうテレビ業界のタブーを破った。芸人の間で聖域扱いを受けている『ダウンタウン』の松本人志を、名指しで批判してみせたのだ。

お笑いをこよなく愛するアウトサイダーは、一体何を伝えたかったのか…。

「漫才至上主義」の頂点に君臨する松本人志

世間を騒がせているのは、5月29日に投稿された『【松本人志への提言】THE SECONDについて』という動画だ。

中田は2001年から始まった『M-1グランプリ』が、「漫才至上主義」の時代を作り出し、若手芸人たちが世に出るチャンスが逆に減っていると指摘。

そして、「M-1グランプリ」が審査員の権威性を押し出す作りになっていることを説明し、具体例として松本の名前を挙げた。

また、松本が「M-1グランプリ」『キングオブコント』『IPPONグランプリ』『人志松本のすべらない話』と、漫才・コント・大喜利・漫談を制覇する形で権力を握っているとして、「他の業界だったら信じられないくらいの独占状態」「松本さんが面白いって言うか言わないかで新人のキャリアが変わる」と問題点を言いつのる。

そこでは中田は、「松本さんがそれだけ偉大な人だから、求められてるんだって見方があると思う」と理解を示しつつも、実際に審査員などを請け負っていることは、「業界のタメにならない」と主張した。

業界の構造について、「1つの価値基準しかないってことは、それ以外の才能は全部こぼれ落ちる」と考えているらしく、「少なくとも『THE SECOND』には違うフォーメーションでいってほしかった」とも批判している。

さらに中田は本題に付け加えるように、「松本さんに対して何も物が言えない空気ってすごいあるんですよ」と告白。故・ジャニー喜多川氏が生きている間に追求を受けなかったことを例に挙げ、「松本さんの映画をさ、面白いか面白くないかって誰も言わないんだよ芸人が」と訴えている。

この動画に対して、松本は自身のツイッターで《テレビとかYouTubeとか関係なく2人だけで話せばいいじゃん》と反応しているため、今後直接対決が実現するかもしれない。

吉本興業との因縁が深まる未来

中田の発言に対する反応はさまざまだ。自称お笑い通のネットユーザーたちは、中田をひたすらに批判しているが、皮肉にもそれこそが松本の作り上げた“1つの価値基準”しかない時代を証明しているように見える。

また動画で相方の名前を出された『霜降り明星』のせいやが、過剰反応とも思えるツイートを投稿していたことも、このことの裏付けになるだろう。

その一方、「M-1グランプリ」が偏った価値観を生んだというのも、以前からよく指摘されている問題だ。

昨年3月に放送された『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(テレビ朝日系)では、漫才の上手さに定評があるお笑いコンビ『囲碁将棋』が大成していない理由について、「M-1グランプリで勝つためだけに漫才を作っていた」ことを指摘される一幕があった。

ほかにも、「M-1グランプリ」で勝つことを意識して活動する芸人は数知れない。さらに結成16年以上のコンビを対象とした「THE SECOND」の登場で、今後は若手だけでなく全世代の芸人が同じ価値観をもつことになりそうだ。

そこで気がかりなのが、「M-1グランプリ」と「THE SECOND」両方の主催として、吉本興業が関わっていることだ。言うまでもなく「ダウンタウン」も吉本興業の所属であり、松本に関しては今後同社の社長に就くのではないかというウワサもある。

今後実現が迫っているのは、むしろ吉本興業一強の時代が到来する未来なのかもしれない。中田はお笑い業界に、新たな価値観を作り出すことができるだろうか。

文=大上賢一

【画像】

Kostiantyn Postumitenko / PIXTA