藤井聡太と「ひふみん」を比較! 意外と多い共通点

画/彩賀ゆう (C)まいじつ

将棋の藤井聡太七冠が史上初の「八冠独占」を達成しようとしている。将棋界で数々の最年少記録を打ち立ててきた藤井七冠だが、その記録のほとんどは「ひふみん」こと加藤一二三・九段(既に引退)が持っていたものだ。ともに将棋界の頂点に上り詰めた2人だが、注目すべき共通点が存在する。

細身の藤井七冠と大柄な加藤九段、確かに体つきは違う。対局の昼食、夕食休憩時はやや軽めの食べ物で済ませる藤井七冠だが、引退前の加藤九段はうな重を中心としたカロリー高めの食事。おやつも板チョコを一枚ごと豪快にほおばるなど、大食漢として知られた。

一方で、実際の将棋の面では共通点もある。時間の使い方だ。

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加藤九段は序盤から多くの時間を注ぎ込み、一手を1分以内に指さなければならない「一分将棋」に早々に追い込まれる。だが、そこから間違えずに勝ち星をつかんできた。「一分将棋の神様」と呼ばれたゆえんだ。

時間の使い方や序盤の考え方に共通点

藤井七冠も同様だ。最近では相手と極端な時間差は発生しなくなったが、それでも早々に時間を使い果たすことが今も多い。ネット中継では「間違えてしまうのでは」と常々、ファンを心配させる。

それでも1時間近く時間を余しているはずの相手と互角以上の戦いを演じ、ときには悩ましい勝負手をさく裂させて見る者をアッと言わせる。

序盤に対する考え方にも似た面が見られる。相手が対策してきたであろう形に飛び込むのだ。

「敬けんなクリスチャンとして知られる加藤九段は『この戦法で指すのが信念』とばかりに長年、同じ戦法ばかりを指してきた。相手が振り飛車に出ると棒銀戦法、居飛車相手だと矢倉にこだわってきた。同じ形ばかりを指すと相手の研究範囲にハマる形になるが、それでも中終盤で相手をなぎ倒してきた。

一方、藤井七冠は序盤研究の裏付けがあることもあってか、すすんで相手の研究範囲に飛び込むことも多い。相手の徹底的な『マーク』に遭い、序盤で形勢を悪くすることもゼロではない。それでも小学生時代からプロを超える力を持っていた終盤力を武器に、最後に相手をうっちゃることもできる。

ただ、藤井七冠は最近、序中盤で早々にわずかなリードを奪い、ミスなく徐々に大差に広げる将棋も増えてきた。評価値のグラフが徐々に藤井七冠に振れる『藤井曲線』を描く将棋は美しさすら漂わせている」(週刊誌記者)

ともに中学生でプロ棋士になるなど共通点が多い2人だが、これから藤井七冠は加藤九段とはまた違ったプロ棋士としてのキャリアを歩んでいくことになるのだろう。

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