両さんを超える奇行の数々 実は『こち亀』屈指の変人だった中川圭一という男

両さんを超える奇行の数々 実は『こち亀』屈指の変人だった中川圭一という男

両さんを超える奇行の数々 実は『こち亀』屈指の変人だった中川圭一という男 (C)PIXTA

『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の主人公・両津勘吉といえば、警察官とは到底思えない暴走行為で知られている。しかし実はその隣で常識人のような顔をしていた相棒・中川圭一の方こそが、本当の危険人物だった。初期のエピソードを見れば、そんな彼の本性がよく理解できるだろう。

ほとんどの読者が忘れた“初期・中川”の衝撃

中川は巨大財閥の御曹司という出自をもち、あらゆる分野に秀でたスーパーエリート。それでいて性格は謙虚で良識があるという、非の打ち所がないハイスペック男性だ。

ところがこのイメージが固まったのは原作がしばらく連載された後で、初期の中川はかなり非常識な人物だった。初登場を飾った第1話『始末書の両さんの巻』では、警官装備用の拳銃ではなく、スミス&ウェッソンのマグナムを勝手に携行。映画『ダーティハリー』への憧れから暴走し、何の罪もない市民の車に発砲している。

さらに弾丸の数をごまかすために報告書類を改ざんしたり、賭け花札をしたり、女学生たちをナンパしたりと、規律違反のオンパレードだ。

また『わたしは殺人犯…の巻』では、夜勤で暇を持て余した両津と共に、車で赤坂まで酒の買い出しに行くことに。その車は駐車禁止の公園に停めてあり、運転中には平然と信号無視していた。

このように単行本の1巻では、両津と並ぶほどの奇行が目立っているが、2巻に入ってもその勢いは止まらない。江戸川で釣りを行っている最中、両津が鯉を逃がしそうになると、どこからか取り出した機関銃を乱射するのだった。

酒に飲まれて本性があらわに

とはいえ初期の中川が見られるのはごく短い間で、その後は問題行動が減り、表向きはまともな警察官になっていく。両津と共に過ごすなかで、更生していったのかもしれない。

だが、彼の根が変人であることには変わりがなく、時折ハメを外した姿を見せていた。150巻に収録された『訳あり、金なし、旅情あり!?の巻』では、いかがわしい格安旅行に連れて行かれ、現実逃避のために泥酔。宴会芸として「働き者のナマケモノ」と口走りながら、5時間にわたって裸でホテル中を走り回った。

酒癖の悪さはその後も発揮され、200巻『中川はん出向の巻』では初期と同じような“トリガーハッピー”の一面が復活を遂げた。通天閣署で酒浸りの毎日を送ることになった中川は、泥酔状態のまま詐欺集団のアジトに突入。捜索令状もないまま愛銃のマグナムを連射し、危うく犯人を射殺しかけている。

また、酒がなくとも性格が豹変することはあり、怒り心頭の際には両津を「角刈り」呼ばわりことも珍しくない。

両津の相方として、これ以上ない胆力の持ち主だった異色の巡査・中川。いつかふたたび彼の暴走が描かれることに期待せざるを得ない。

文=「まいじつエンタ」編集部

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