朝ドラが高齢者を置いてきぼりに…“火落ち”の意味わかる?

画/彩賀ゆう (C)まいじつ

8月3日放送のNHK朝の連続テレビ小説『らんまん』で、主人公・万太郎(神木隆之介)の実家の蔵元「峰屋」が廃業したが、事の顛末を描く上で〝ある演出〟が物議をかもしている。

東京大学植物研究室を追い出された万太郎は、自分のことを認めてくれるマキシモヴィッチ博士のもとで研究をしようと、寿恵子(浜辺美波)と娘を連れてロシアへ行くことを決める。

しかし、万太郎たちが峰屋に渡航費の相談をしようと考えていた矢先、峰屋では異変が…。峰屋の杜氏(とうじ)の親方は、酒が入った樽に手をあて、においをかぐと、「火落ちじゃ…」とポツリ。

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その場にいた全員の表情がこわばり、親方は法被を脱いで「杜氏として申し開きもございません」と謝罪する。

後日、腐造になった酒を全廃棄することになるが、税金の取り立てにやってきた政府の役人は「峰屋が腐らすとはのう」としみじみ。

峰屋を守ってきた万太郎の姉・綾(佐久間由衣)も、その夫・竹雄(志尊淳)も途方に暮れるのだった。

「火落ち」を知らない視聴者たち

「峰屋を廃業に追い込んだ『火落ち』とは、火落ち菌のこと。繁殖すると日本酒の味わいや香りが損なわれることから、日本酒造りの天敵ともいえる存在として関係者には知られている。

しかしながら、劇中では最後まで『火落ち』の詳しい説明はされずに終了。親方が火落ちを認めてから、あれよあれよと廃業に向かっていく様子に、一般視聴者の多くが置いてきぼりに。放送後、各々がその意味を調べる事態となりました」(ドラマライター)

こうした〝優しくない演出〟に対し、賛否の声があがっているようで…。

「本来ならば、サブキャラクターたちが火落ちについて話す〝説明セリフ〟を挟むのが定石。

こうした演出を避けた制作陣に対し、ネット上では『視聴者を信頼してくれてる。作り手と視聴者の強い信頼関係を感じる』といった好意的な感想がある一方で、『説明がないと事の重大さに説得力がなくなってくる』などと指摘する声もあります。

特に、朝ドラ視聴者の多くは年配者であるだけにネットですぐに調べることができない層に、もう少し配慮をするべきだとの指摘もあるほどです」(同)

コア視聴率を重視するというこのご時世。ついに朝ドラでも、高齢者の切り捨てが始まったのか。

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