実写版『聖闘士星矢』の爆死を『ONE PIECE FILM RED』が尻拭い? 東映アニメーション決算から見える“アンコール上映”の狙い

『ONE PIECE』106巻(尾田栄一郎/集英社)

10月末に発表された東映アニメーションの9月中間決算が好調だ。

発表によると、同社の今年4月~9月までの連結決算は、営業利益が113億6500万円。前年同期比19.9%減と2割も落ち込んでいて、経常利益138億5700万円、最終利益102億4000万円と、こちらも同11%ほど落ち込んでいる。

一方、売上高は461億8400万円と、前年同期比8.8%増となる好成績。上半期としては過去最高の売上高となったほか、営業利益も前年に次ぐ2番目の水準となっている。

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「減少で苦しいように見えますが、これは昨年が売上・利益ともに過去最高だったためで、調子がいいことに変わりはない。この好調を牽引しているのは、なんといってもアニメ版『ONE PIECE』でしょう。昨年公開の劇場版最新作『ONE PIECE FILM RED』は、今年に入っても再上映されるなど、異例のロングラン大ヒットを飛ばしましたからね。Adoのテーマソングやウタというオリジナルキャラも大人気になり、再上映分も合わせた興行収入は200億円をついに超えました」(エンタメ記者)

他方で、この「ONE PIECE」の貯金を食い潰すがごとく空振りに終わったのが、人気シリーズ『聖闘士星矢』の実写映画『聖闘士星矢 The Beginning』だ。

『ONE PIECE』は『聖闘士星矢』の穴埋めか…

『The Beginning』は4月28日、アニメ『聖闘士星矢』の実写版として、ハリウッド制作のもと公開されたもの。日本人キャストには、Netflix制作・配信の実写版ドラマ「ONE PIECE」でロロノア・ゾロ役を務める新田真剣佑が出演し、東映からの大々的なバックアップを受けていることが窺える。

ところが、蓋を開けてみれば、日本での興行収入は1億円ほど、全世界合計も7億円で爆死。今年2月に亡くなった東映前社長・手塚治さんは、昨年12月の日本経済新聞インタビューで「興行収入30〜40億円程度」と期待したが、遥かに及ばない数字に終わっている。

今回の決算からは、「聖闘士星矢」がいかに足を引っ張ったかが、改めて分かったと言えるだろう。実は『ONE PIECE FILM RED』の再上映も、「聖闘士星矢」の影響が見え隠れしているとも…。

「『FILM RED』は公開1年以上が経過した先月22日から、突如1カ月限定のアンコール上映を開始。鑑賞者特典も豊富に用意し、第1弾は限定コミックの『巻四十億一〝アンコール〟』を全国合計60万部限定で配布しています。

さらに、応援上映回限定の『ウタLIVEキラキラリングライト』というグッズも全国12万個配布したほか、第2弾・第3弾も配布予定。この甲斐あって、アンコール上映後3日間の動員は12万2000人、興収1億5900万円と、同週の映画ランキング首位を獲得しました。

このなりふり構わぬ〝かさ増し〟には多くの関係者が首を傾げましたが、今思えば『聖闘士星矢』が巨額の損失を出してしまったことによる穴埋めだったのでしょう。黄金聖衣のサビを、ドーピングという悪魔の実で落としたのです」(同・記者)

ドーピング商法と言えど、『ONE PIECE FILM RED』は再上映からわずか3日間で、実写『聖闘士星矢』の国内興行収入を超えた。

この調子で、『聖闘士星矢』が稼ぐはずだったあと30億円を回収したいところだろう。

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