アニメ『進撃の巨人』最終回の結末に海外ファンから賛否! エレン視点のバッドエンドが争点に「アニメ史上最…

アニメ『進撃の巨人』最終回の結末に海外ファンから賛否! エレン視点のバッドエンドが争点に「アニメ史上最大の失望」

『進撃の巨人』34巻(諫山創/講談社)

TVアニメ『進撃の巨人』The Final Season完結編(後編)が11月5日にNHKで放送。これまでの伏線を一気に回収する、ドラマチックな展開によって話題を呼んだ。

もともと「進撃の巨人」人気が高い海外のアニメファンたちも大いに盛り上がっているが、肝心の結末については賛否両論が巻き起こっている。

※アニメ「進撃の巨人」最終回の内容に触れています

The Final Season完結編(後編)では、世界を滅ぼすために「地鳴らし」を発動させたエレンと、世界を救おうとする勢力の最終決戦が描かれた。始祖ユミルの妨害によって歴代の九つの巨人たちが立ちはだかるなか、アルミンやミカサたちは死力を尽くしてエレンを止めようとする。

鳥のような巨人となって助けにきたファルコや、アルミンに感化されたジークの協力、そしてミカサの決断などもあり、最終的にはエレンを止めることに成功。そこで視聴者は、エレンのすべての思惑を知ることになる──。

2013年に放送された第1期から数えると、10年に及ぶ物語が完結。人類対巨人という当初の構図から人類と人類の争いに変わり、エレンが人類を虐殺するというストーリーへ移っていったが、最後まで「憎しみの連鎖はなぜ終わらないのか」というテーマが一貫して描かれた。

しかし最終回をめぐって、海外のアニメファンからは意外な反応も。海外の大手映像データベース『IMDb』では、一時的にレビュー点数が10点満点中の7点台を記録していた。

もともと同サイトでは「進撃の巨人」の評価が高く、完結編(前編)は9.3、The Final Season Part 2の終盤3話では9.1、9.5、9.6を叩き出していたので、最終回だけに異変が起きたと言える。

11月7日時点では8.5にまで回復しているが、レビューの内訳をみると67.3%のユーザーが満点の10、21.8%のユーザーが1~2に投票しており、大きく賛否が分かれていることが分かる。

「ヒーローもの」で終わらなかった物語

「IMDb」で低評価をつけたレビューの内容を見てみると、ほとんどのユーザーは「進撃の巨人」の熱心なファンだった様子。だからこそ結末に納得がいかないようで、《私がこれまで見たアニメシリーズのなかで、もっとも不条理な結末の1つ》《ゲーム・オブ・スローンズと同じように、このアニメはエンディングによって台無しになりました》といった意見が投稿されており、《この世で最悪の結末》《アニメ史上最大の失望》という言葉まで飛び交っている。

「海外ファンが憤っている理由はいくつか挙げられますが、エレンの視点でストーリーがバッドエンドに見えることや、憎しみの連鎖を終わらせるという計画が成功しなかったことなどが主に批判されているようです。

とはいえ『進撃の巨人』が新しかったのは、まさにここがポイントでしょう。エレンを王道のヒーローに仕立て上げ、世界にハッピーエンドをもたらすのではなく、憎しみの連鎖は決して終わらないという現実に向き合ったことで、『コードギアス 反逆のルルーシュ』などの似た設定をもつ作品との違いを生み出しています。

とくに海外には“ヒーローの物語”を求めるファンが多いため、この結末が不満を招いてしまったのかもしれませんね」(アニメライター)

とはいえ、海外の有名アニメデータベース『MyAnimeList』(MAL)では、約23万8,400人の投票で、9.00のレビュー点数を獲得している。「進撃の巨人」のメッセージを正面から受け止めて評価する海外アニメファンも多く存在しているようだ。

なおアニメ版では原作と同じビターエンドを描きつつ、エレンとアルミンの対話シーンでアニメオリジナルの展開を導入し、“虐殺の責任を一緒に背負う友人”の存在を強調していた。

この改変によって、「進撃の巨人」の結末を受け入れられるようになったという人もいるのではないだろうか。

文=「まいじつエンタ」編集部
写真=まいじつエンタ