少年誌は本来、低年齢層も読める健全な雑誌であるべきだろう。しかし、少年漫画誌を代表する『週刊少年ジャンプ』で近ごろ“キスブーム”が到来しており、複数の漫画で刺激的な描写が相次いでいる。
過激すぎてモザイク入り!?
先陣を切ったのは、矢吹健太朗によるラブコメ漫画『あやかしトライアングル』。「ジャンプ」10号から3週にわたり、ヒロインたちによる濃厚なキス回が続いている。しかも当然のようにディープキスであり、少年誌レベルを越えてしまったのか、「シロガネ様の呪い」と銘打って不自然な“ぼかし”が入ったシーンもあるほどだ。
今週のあやトラは壮絶な〇〇バトル‼︎
描写に気合を入れまくった結果、シロガネ様の呪いが発動しちゃいました。
これはこれで味があるな…と思いつつ、単行本で祓おうと思います。 pic.twitter.com/Xg9nFqo58L— 矢吹健太朗 Info (@yabuki_info) February 16, 2022
そして2月21日に発売された「ジャンプ」12号では、「あやトラ」を含めて4作品がキス被り。松井優征による『逃げ上手の若君』では、巫女の雫が眠っている主人公・時行に対して口づけを行っていた。その様子は周囲が動揺するほど情熱的なもので、こちらも少年誌では見せられないのか、モザイクがかけられている。
前述の2作品では、どちらかというとネタ的な扱いだったキスシーン。だが、『呪術廻戦』では至って真剣なキスが描かれている。凶悪な呪霊を倒すため、呪術師の乙骨憂太が正のエネルギーを“口移し”で注入したのだ。ただ、相手は「G」の愛称でお馴染みの害虫だったため、ある意味グロ描写に近い。
バラエティーに富んだキスの連続に、読者からは《いまだかつてジャンプでここまで同時多発的にキスが掲載されることがあっただろうか…》《今週のジャンプはキス祭りです 少年誌の姿か…? これが…》《ジャンプのキス、4つの奇跡のシンクロニシティ》《キスバトルでもしてんのか…?》《性癖歪みそう》と盛んにネタにされているようだ。
一番の被害者は“新連載”?
あまりにもインパクトの強いキスの数々だが、もっとも被害を受けたのは「ジャンプ」12号から始まった新連載『地球の子』かもしれない。第1話では、地球を守る女性ヒーローと一般男性の恋愛模様が描かれ、クライマックスでは夜景をバックにロマンチックなキスを交わしている。
普通に読めば感動的なシーンなのだが、後に続く怒涛のキスラッシュで余韻がかき消されたという読者も多いよう。ネット上では《地球の子とか全部吹っ飛んだわ》《綺麗なキスシーン決めたのに 連載陣が各々の絵面の暴力で過激なキスシーンぶちこんで印象をかっさらうあたり、ジャンプは修羅の道だなあと思う》といった感想もチラホラ上がっていた。
少年漫画のキスシーンは珍しいものではないが、連載作品のうち4つが示し合わせたかのようにその描写を入れてくるのはもはや奇跡。もしこの号から「ジャンプ」を読み始める少年少女がいたとしたら、その性癖に大きな影響を及ぼしてしまうかもしれない。
文=野木
【画像】
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