エアコンは28度以下でもOK?“なんとなく”ではじまった室温設定

(C)Roman Samborskyi / Shutterstock

厳しい暑さが記録的にも際立っていることが明らかになった。気象庁が公表している6月下旬の最高気温の平均値を見ると、15都県で過去最高を更新し、歴代2、3位に相当するケースも16府県に及んだ。この暑さはしばらく続くと見られており、政府は電力がひっ迫することを踏まえ、国民に〝節電〟を呼び掛けている。

情報番組では朝からエアコンの設定温度を〝28度〟に設定し、こまめにフィルターを掃除したり、サーキュレーターを併用したりするなどの節電ポイントを紹介。熱中症に罹らないためのさまざまな知恵を紹介しているが、視聴者の反応は薄く、

《扇風機やサーキュレーター使うなら設定温度1度下げたら良い。そもそも28度じゃ暑くて厳しい》
《日本の夏は温度だけでなく湿度も上がるので不快指数が増す。28度じゃ暑くて絶対に無理》
《そもそも28度って誰が言い出したの? 最低25度以下にしないと暑くて無理なんだけど…》
《28度は何もせずじっとしてる分にはいいんだけど、わずかでも動くと暑くなるんだよね。省エネで28度は無理です。効率も悪いよ》
《28度って厳重警戒温度だっけ? もうヤバい温度なのにエアコンの設定温度を28度は狂気》

などといったように、毎日繰り返される節電の呼び掛けに、疑問の声が相次いでいる。そもそも、なぜ28度なのか。

本当に必要ないのはテレビ?

「環境省は、平成17年の『クールビズ』開始の際に、『建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行令』及び労働安全衛生法の『事務所衛生基準規則』で定められた室温設定の範囲(17度以上28度以下)に基づいて、〝冷房時の室温28度〟を呼び掛けています。しかしこの数値はあくまでも目安で、必ず28度にしなければならないということではありません。また、これには科学的な根拠は一切なく、導入当時の環境省課長が〝なんとなく目安でスタート〟したに過ぎません。情報番組などではしきりに節電を求めていますが、肝心のスタジオではエアコンをガンガンかけながらジャケットを着用する始末。これでは説得力なんてありません。電力供給がギリギリなのは確かですが、28度という温度設定はそろそろ見直すべきでしょうね」(全国紙記者)

11年前に『野村総合研究所』がまとめたレポートでは、「テレビを消せばエアコンの1.7倍の節電効果がある」という。「当時と今では家電の性能が大きく異なる。電力の使用状況も当時のものなので参考程度に留めて欲しい」と注意を呼び掛けているが、最近のテレビは4K、8K化とより高彩度になって消費電力が大きくなっているのも確かだ。

どうしても我慢できないくらい暑い時は、エアコンの設定温度を28度以下に下げて、テレビを消すというのが最適解かもしれない。

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