『にじさんじ』の魅力が半減? 黛灰の引退で浮き彫りになった方針転換

『にじさんじ』の魅力が半減? 黛灰の引退で浮き彫りになった方針転換

『にじさんじ』の魅力が半減? 黛灰の引退で浮き彫りになった方針転換 (C)PIXTA

人気VTuberグループ『にじさんじ』に所属する男性ライバー・黛灰が、7月28日をもって引退することを表明。そこで明らかとなった引退理由から、「にじさんじ」というグループ自体の方向性を懸念するファンも多いようだ。

なぜ黛灰は引退にいたったのか

黛が自身の引退について詳しく語ったのは、7月2日の配信。彼によると、運営会社である『ANYCOLOR』との間で、「方向性の違い」を感じたことが理由だという。昨年11月に同社からとある提案を持ち掛けられたことですれ違いが起こり、その後何度か話し合いの場が設けられたが、最終的に引退という決断にいたったとのことだ。

何やら穏やかではない理由だったこともあり、ツイッター上では「方向性の違い」というワードがトレンド入りする事態に。ファンの間でも、《黛から方向性の違いって言葉が出たのは少しショック》《にじさんじ運営は何考えてるんだ? 黛が引退を考えるほどの方向性の違いって相当なものだろ》と不信感を露わにするような声が上がっていた。

そもそも「にじさんじ」は100人を超えるライバーが所属しており、“多様性”こそがアイデンティティだと考えるファンも多い。アイドル路線のルックスがいいVTuberだけでなく、芸人路線の“おじさん”系や、そもそも配信を全くしないVTuberなども所属している。そんな自由に活動できそうな環境の中で、黛はなぜ引退を決意したのだろうか…。

『ANYCOLOR』が目指す未来

最近の「ANYCOLOR」が何を目指しているのか、少し推測してみよう。手がかりとなるのは、昨年6月からスタートした「バーチャル・タレント・アカデミー」(VTA)だ。

「VTA」は、バーチャルの世界で羽ばたくタレントを育成するため、ライブ配信以外にも歌やダンスも教えるという名目で始まった。実態はいろいろと変化があったようだが、方針としては“アイドル候補生”のようなイメージを受ける。今年6月に東証グロース市場に新規上場したという背景もあり、利益につながりやすいアイドル路線を開拓しているのかもしれない。

しかし、黛はアイドル路線とは違った方向性を向いていたVTuber。エンタメ精神あふれるユニークな配信を行うことが多く、“企画屋”というポジションで見られることも。また配信に対して独自の哲学を持っており、一部のリスナーを特別扱いしたくないという理由で、これまでYouTubeのメンバーシップを開設せずにいた。

もしかすると収益よりもエンタメを優先するような姿勢が、現在の「にじさんじ」と相容れなくなってしまったのだろうか。黛の卒業という大きな代償によって、運営が何かしらの学びを得ていることを信じたい。

文=「まいじつエンタ」編集部

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