『週刊少年ジャンプ』の人気漫画から発展した『遊戯王OCG デュエルモンスターズ』。日本をはじめとして、世界各国で熱狂的に愛されているカードゲームだ。しかし最近では同ゲームをめぐり、「ゲーム性が破綻している」という説がまことしやかに囁かれている。
「遊戯王はマナがないから破綻している」説
きっかけとなったのは、『はてな匿名ダイアリー』に投稿された『遊戯王はマナがないから破綻しているのか』という記事だ。
この記事の要旨を簡単にまとめると、「遊戯王OCG」は『マジック:ザ・ギャザリング』や『ポケモンカード』とは違い、カードを使うために必要なリソースの概念がないのが特徴。そのため、漫画やアニメで映える画面を作りやすいが、カードゲームとしては破綻している…という主張だった。
過激な意見ではあったが、ネット上では《よくこんなガバガバなゲーム性で流行ったよな》《遊戯王はマナがないから破綻しているのか。なるほどなー》と同調する人も多数。さらには、《MTG遊ぶと遊戯王は幼稚すぎてやってられんわ》《シャドバ以下のゲーム性だよね》《時代はワンピースカード》と他のカードゲームを引き合いに出して「遊戯王OCG」を論じる人も現れていた。
「遊戯王OCG」の本質はごっこ遊び?
しかし同調する意見ばかりではなく、《遊戯王は「カードゲーム漫画ごっこ」をするゲームだからこれでいい》《「マナがないから」は本質からズレてると思う》《破綻してないカードゲームのMTGは日本じゃ遊戯王ほど売れてない》などと猛反論する声も。
とくに擁護意見で興味深いのは、「漫画が先でカードが後という状況こそが遊戯王OCGを面白くしている」という意見。「はてな匿名ダイアリー」の記事では、原作ありきで生まれたため「カードが先でルールが後」という状況になり、カードゲームとして破綻したと分析されていた。しかしそれこそが「遊戯王OCG」の面白さだとするファンが多いのだ。
一部界隈では有名な話だが、ゲームクリエイターの池っち店長は、「遊戯王OCG」以降に日本のカードゲームが“ごっこ遊び”として発展してきたと主張。その楽しみ方について、「仮面ライダーの変身ベルト」という比喩によって語っていた。たんなるカードゲームである以上に、“主人公”として没入できるという側面はたしかにあるのだろう。
実際に「遊戯王OCG」では、『青眼の白龍』や『ブラック・マジシャン』など、他のカードゲームではありえないほどの知名度をもったカードが多数存在する。それはやはり原作ありきの強みであり、「遊戯王OCG」ならではの魅力と言えるはずだ。
結局カードゲームに本当に必要なものは、精密で考え抜かれたゲーム性ではなく、プレイヤーをワクワクさせてくれる物語なのかもしれない。
文=Tら
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