アニメ『チェンソーマン』は本当に失敗なのか? 漫画とアニメの熱量にギャップ

『チェンソーマン』11巻(藤本タツキ/集英社) 画像:まいじつ

10月11日より放送開始した、今期の覇権アニメ候補『チェンソーマン』(テレビ東京系)が物議を醸している。監督を務める中山竜氏の炎上が激化し、原作者・藤本タツキも〝テコ入れ〟に駆り出されているようだ。

同アニメはハイクオリティーな作画が毎週話題になっているが、原作を読み込んだファンの間では不評が目立っている。その理由は、原作の迫力ある構図がアニメで再現されていないからだ。〝ヌルヌル〟とした作画は目を見張るものがあるが、〝チェンソーマンのアニメ〟として視聴すると、どうしても違和感を抱く視聴者も多いのだろう。

SNSでは「チェンソーマン」原作支持者が中山監督を批判。その声を受けてなのか、中山監督は10月19日にツイッターへ《制作マネージャー達も毎日遅くまで本当に身を削って頑張ってるので応援してあげてほしい みんなやる気あって彼らの頑張りによってチェンソー班は支えられてる マジで偉い》と投稿していた。しかし、監督は批判ツイートをブロックするなど、不毛な争いが続いている。

そんななか、中山監督の発言が物議を醸すことに。今回問題になっている発言は、雑誌『日経エンタテインメント!』11月号の中山監督とアニメーションプロデューサー・瀬下恵介氏との対談の中で飛び出した。

中山監督は「言葉があまりよくないかもしれないですが」と前置きしながらも、「いわゆるアニメを作りたくなくて」「マンガ的なものはマンガで楽しめばいい」「映像だからこそできる、ある種チャレンジングなこと。単なるアニメでなく、映像作品として大きくしたい」などと発言していた。

至極真っ当な発言だと思うが、この発言が火に油を注ぐことに…。〝マンガ的なものとは別の表現〟を受け入れらない原作ファンがアニメを批判していたにもかかわらず、この発言を繰り出してしまったからだ。

アニメ『チェンソーマン』は失敗なのか?

中山監督が明かした作品の制作秘話に、アニメファン、漫画ファン、原作ファンからは、

《チェンソーマンの監督、俺に変えてほしい》
《読者の脳内にあるチェンソーマンと、監督がやりたいことのギャップがデカすぎてグチャグチャになってるだけでしょ》
《決して失敗作では無いし、面白いっちゃ面白いけど、テンポ悪いし、デンジの口調が大人しすぎる気がする。全体の雰囲気もっと汚くてガチャガチャしてて喧しい感じが良かったなって思う》
《アニメっぽくないチェンソーマン作ろうが、邦画に寄せた演出をしようが構わんのだけどさ、つまんなきゃクソだぜ》
《監督が悪いわけじゃなくて、藤本タツキの才能のセンスがえぐすぎて追いつけてないだけだと思うから、何言ってもしょうがない気がする》
《監督の発言や姿勢は嫌いではない。アニメに実写の要素を入れる事は悪い事ではない。もちろんその出来が良い悪いはあるだろうが》
《普通に丁寧だし、全体的に高水準で面白くはある…けっして失敗ではない…。ただ、この作品に頭焼かれた人にとっては物足りなさを感じてしまうのも事実で…もっとやれただろ!っていう期待からの批判なのは忘れないでいたい》

など、さまざまな意見が飛び交っている。

「アニメ4話が放送される11月1日、原作者の藤本がツイッターを更新し、《今日Twitterをスマホにいれたのでチェンソーマン夜に実況しながら見たいです よろしくお願いいたします》と宣言。もともと『チェンソーマン』は原作人気が高く、藤本信者の漫画ファンも多くいます。これはある種の宣伝で、藤本は〝テコ入れ〟に駆り出されたのかもしれません。そもそも同作は製作委員会がなく、アニメを手掛ける『MAPPA』と版元の集英社が社運を賭けて作り上げた作品。前評判も高く、宣伝に力を入れており、放送前は絶対に失敗しない・失敗できない作品として期待が高まるばかりでした。その期待値の高さと、出来上がった作品のギャップが批判に繋がっているのでしょう」(アニメライター)

映像化が失敗し、存在そのものが黒歴史となり、ファンの記憶から抹消されたアニメ作品は意外と多い。アニメ「チェンソーマン」は、決してクオリティーが低い作品ではないため、もどかしいところだ。

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