空条承太郎の元ネタはSF漫画?『ジョジョの奇妙な冒険』のオマージュ検証【第3部編】

空条承太郎の元ネタはSF漫画?『ジョジョの奇妙な冒険』のオマージュ検証【第3部編】

空条承太郎の元ネタはSF漫画?『ジョジョの奇妙な冒険』のオマージュ検証【第3部編】】 (C)PIXTA

『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズといえば、海外のバンドを元ネタにしたスタンド能力や登場人物が登場することでお馴染み。しかし実はそれ以外にも、多くの要素に元ネタが存在する。

今回は同作の第3部「スターダストクルセイダース」から、あまりにも露骨なオマージュ要素の数々を取り上げてみよう。

スタンドの設定は丸パクリ!?

第3部は、空条承太郎と仲間たちがエジプトを旅しながら、DIOの打倒を目指す物語。

そこでは精神エネルギーを具現化した「スタンド」と呼ばれる能力が登場し、超次元の異能バトルを繰り広げていく。

漫画史に残る発明とも言われる、このスタンドという設定。しかし一部では、1970年代に発表されたホラー漫画『うしろの百太郎』が元ネタとも言われている。

同作は主人公の後一太郎が、主護霊である百太郎によって危機を逃れる設定だからだ。

また、スタンドという名称自体、映画『スタンド・バイ・ミー』が元ネタだという説も存在する。

他方で学ラン姿の主人公・承太郎については、有名SF漫画『バビル2世』が元ネタ。

作者・荒木飛呂彦本人が「生誕80周年記念 横山光輝展」で明かしており、「バビル2世」の主人公が学ランで砂漠を行く姿が、インスピレーションの源になったようだ。

そして承太郎の有名な指差しポーズ(ガンフィンガー)は、映画『ダーティハリー』を意識しているものだと言われている。

名作ホラー映画のオマージュも

また、敵の使う個性豊かなスタンドにも、さまざまなホラー映画のオマージュが散りばめられていた。

マニッシュ・ボーイが操る、夢の中で相手を襲うスタンド「デス・サーティーン」は、1984年の映画『エルム街の悪夢』から。

呪いのデーボが使用する、人形に悪霊が取り憑くスタンド「エボニー・デビル」は、『チャイルド・プレイ』を代表とする人形系ホラー映画が元ネタだろう。

さらに自動車と一体化し、怪物のような姿の車に変形させる「ホウィール・オブ・フォーチュン」は、おそらくスティーブン・スピルバーグ監督の映画『激突!』が元ネタ。

同作はひたすら後ろから謎の巨大トレーラーが襲ってくるという物語で、似通った展開となっている。

また、「ホウィール・オブ・フォーチュン」の自己再生能力も、無尽蔵の生命力を持った怪物車が登場する映画『クリスティーン』の影響という説があるようだ。

こうして見ていくと、「ジョジョ」が数多くの映画からインスピレーションを受けていることが分かるはず。

どれも単純な“パクり”ではなく、絶妙なアレンジが加えられているところが、名作になり得た所以かもしれない。

文=富岳良

【画像】

master1305 / PIXTA