『ストリートファイター6』発売前に“割れ問題”で大荒れ! 賞金1億円の公式大会に暗雲

『ストリートファイター6』発売前に“割れ問題”で大荒れ! 賞金1億円の公式大会に暗雲

『ストリートファイター6』発売前に“割れ問題”で大荒れ! 賞金1億円の公式大会に暗雲 (C)PIXTA

6月2日の発売に向けて、ますます注目を集めている『ストリートファイター6』。現在は体験版の配信が始まっており、人気配信者たちの実況プレイも見られるようになった。

ところがそんな盛り上がりに水を差すような、“クラック版”に関する問題が浮上しているようだ。

ソフトウェアの改ざんにカプコンが激怒

ゲーム用語におけるクラックとは、発売前のゲームを不正に“割って”遊ぶ行為を指すことが多い。「ストリートファイター6」に関しては、以前公開されたクローズドベータテストのデータを改ざんし、所持しているプレイヤーの存在が問題視されている。

体験版ではリュウとルークの2キャラしか使えないのだが、クローズドベータテストでは、より多くのキャラが使用できた。そのため「ストリートファイター6」の発売後にスタートダッシュを狙うプレイヤーにとっては、すでに公開が終わっているクローズドベータテストのデータで練習するメリットが大きいのだろう。

しかし当然の事ながら、ソフトウェアを不正に改ざんして所持する行為は禁止されている。

事態を重く見たのか、『CAPCOM eSports』の公式ツイッターは4月29日に「ストリートファイター6」クラック版に関しての声明を発表した。

クラック版を所持・プレイしていることが確認されたプレイヤーに対しては、ストリートファイター関連大会への無期限出場停止など、厳重な処罰が下されるという。

クラック版によって荒れる競技シーン

カプコンは「ストリートファイター6」の発売にあたって、競技シーンの展開に大きな力を入れている。

同作が競技タイトルとして採用される公式大会『CAPCOM CUP X』は、優勝賞金が100万ドル、日本円にして約1.3億円となることが発表されていた。

同大会を含む「CAPCOM Pro Tour 2023」のツアー年間賞金総額は、実に200万ドル以上。まさに「ストリートファイター6」で夢を叶えられるような金額だ。

しかしここで問題なのは、先んじてクラック版で練習してきたプレイヤーが、6月2日に正規ルートで始めたプレイヤーよりも、有利になってしまうことだろう。

有名格闘ゲームプレイヤー・どぐら氏も、自身の配信で「カプコンはマジで頭痛いと思う、今のスト6のクラック版の話は」「1億の賞金大会、この1カ月とかの差で海外勢が勝ったりしたら絶対不平・不満は出るに決まってるじゃないですか」と語っていた。

また、実際に海外プロ選手の配信画面に、クラック版を所持しているところが映ってしまった事案なども報告されている。このまま“正直者が損をする”事態になれば、競技シーンにおいてさらなる問題に発展しそうだ。

格闘ゲームにおいて、競技シーンの盛り上がりは売上に直結する場合が多い。カプコンの命運を賭けた「ストリートファイター6」は、一体どうなってしまうのだろうか。

文=大上賢一

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