『ストリートファイター6』は格闘ゲームの革命!?“スマブラ化”で任天堂に反撃開始

『ストリートファイター6』は格闘ゲームの革命!?“スマブラ化”で任天堂に反撃開始

『ストリートファイター6』は格闘ゲームの革命!?“スマブラ化”で任天堂に反撃開始 (C)PIXTA

初心者お断りの限界集落ジャンルだと思われていた“格闘ゲーム”が、再興の兆しを見せている。6月2日に発売された『ストリートファイター6』が、新規プレイヤーの開拓に本気で取り組んだ意欲作だったからだ。

国内外のレビューで絶賛の嵐!

Steamで配信されたPC版「ストリートファイター6」は、プレイヤー同時接続数約6万9,000人を記録。これは対戦格闘ゲームの中では史上最多の数字であり、「最もプレイされたゲーム」のトップ100でも8位にランクインしている。

また、海外レビューサイト『Metacritic』のメタスコアでも、高い評価点がついており、PS5版が92点、PC版が93点(6月5日現在)。近年の格闘ゲーム界隈の事情を考えると、いずれも驚異的な数字だ。

「数年前から格闘ゲームは、衰退の一途をたどっていると嘆かれていました。ゲームとして、新規層が入りにくい構造になっていたからです。アケコンでの操作を前提とした難しいコマンドやコンボ、複雑化していくシステム、1対1の対人戦以外の楽しみが見つけづらいゲームモードの乏しさなど、理由を挙げればきりがありません。

そもそも格闘ゲームというジャンル自体、今の時代に合っていないとさえ言われていました」(ゲーム誌ライター)

しかし満を持してカプコンが発表した「ストリートファイター6」は、そんな格闘ゲームの初心者お断り問題をスマートに解決してみせた。

まず新規層の開拓に力を発揮しているのが、「モダンタイプ」という新たな操作モードの導入だ。複雑なコマンド入力なしで格闘ゲームの醍醐味に触れられる仕様であり、発想としては任天堂の『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズに近い。

デメリットはあるものの、オンライン対戦でも使用できるため、新規格闘ゲーマーを育てるためには画期的な取り組みだろう。

格ゲーを変えた「MODE WORLD TOUR」

さらにもう1つ画期的なのが、「MODE WORLD TOUR」というシングルプレイヤー向けのストーリーモードだ。

これはキャラクタークリエイトでアバターを作り、世界各地を周ってミッションを達成したり、キャラを強化したりするモード。格闘ゲームのシステムを利用した新しいRPGと言っても過言ではないクオリティだ。「モダンタイプ」などによるコマンド簡略化とも相性が良く、「対人戦で勝てないと面白くない」という格闘ゲームの構造的な欠陥を見事解消している。

また「MODE WORLD TOUR」を実装したことで、“ゲーム実況”向きになったという副次的な効果も。これまであまり格闘ゲームをプレイしてこなかった有名ストリーマーやVTuberなどが、こぞって配信を行っている。

「奇しくも『大乱闘スマッシュブラザーズ』を生んだゲームクリエイター・桜井政博氏は、5月29日に投稿した『価値観の幹と枝先 【仕事の姿勢】』という動画では、興味深い一節がありました。

桜井氏によると、任天堂のゲームが売れるのは、価値観が多様化する前の若年層にヒットしているためだというのです。ここでいう若年層は、ゲームのライトユーザーと読み替えることもできるでしょう。

実際に『大乱闘スマッシュブラザーズ』は、格闘ゲームを極限までライト向けにしたことで大人気コンテンツとなっています」(同)

“スマブラ化”した「ストリートファイター6」の成功によって、格闘ゲーム界には新たな波が生まれるかもしれない。

文=「まいじつエンタ」編集部一

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