『NARUTO』と『るろ剣』で正反対 続編漫画の“前作主人公”はどのように扱うべき?

『NARUTO』と『るろ剣』で正反対 続編漫画の“前作主人公”はどのように扱うべき?

『NARUTO』と『るろ剣』で正反対 続編漫画の“前作主人公”はどのように扱うべき? (C)PIXTA

最近の漫画業界では続編商法が流行っており、一度完結した人気漫画の続きが描かれることは珍しくない。そこで激しい議論を呼んでいるのが、“前作主人公”の扱いだ。前作主人公を目立たせるか、あくまで脇役とするべきか、さまざまな意見が飛び交っている。

弱体化によって荒れた『NARUTO』

前作主人公を脇役として、新たな主人公を活躍させている作品としては、『NARUTO -ナルト-』の続編である『BORUTO-ボルト- -NARUTO NEXT GENERATIONS-』が代表的だ。

「BORUTO」の時系列は、前作で描かれた第四次忍界大戦から15年後の世界。うずまきナルトの息子・ボルトを中心として、子ども世代の活躍が描かれている。

そこで賛否を呼んだのが、ナルトとサスケの扱いだ。前作における彼らは忍界大戦を経て、大筒木カグヤとの宇宙レベルの大乱闘を経験した、いわば史上最強の忍だった。

しかし「BORUTO」では、そんな前作主人公コンビが強大な敵に大苦戦。挙句の果てに、サスケは輪廻眼、ナルトは尾獣・九喇嘛を失うという弱体化イベントまで描かれている。

ナルトとサスケはレベルが“カンスト”した状態だったため、続編のキャラクターたちに活躍の余地を与えるため、弱体化されることになってしまったのかもしれない。

だが、前作への思い入れが強いファンたちにとっては、望ましくない展開だったのか、「BORUTO」を蛇足とする声も少なくない。

前作主人公が続編を乗っ取るパターンも

一方で、2017年から『ジャンプSQ』で連載が始まった『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚・北海道編-』では、まったく別の現象が起きている。

同作は『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』からおよそ5年後の世界が舞台となっており、新主人公として、刑務所帰りの少年・井上阿爛、同じ日に出所した長谷川悪太郎、密偵の少女・旭の3人組が登場する。

序盤では彼らの活躍が中心的に描かれており、新たな明治剣客浪漫譚が紡がれるのかと思われたが、その後ストーリーが大きく変化。北海道に渡ってからは、前作のキャラクターたちが次々と現れる。

そして「劍客兵器」という組織との戦いでは、剣心や相楽左之助、斎藤一といったお馴染みのキャラクターたちが暴れまわり、それぞれ新技を披露するというファンサービスも相次いでいる。

結果として新主人公たちは影が薄くなり、「ただの同窓会」とすら言われているのだが、ファンたちの反応は上々。やはり前作主人公の活躍を見るために、続編を手に取っている人が多いのだろう。

ただし、前作の主人公が続編を乗っとることによって、新たなドラマが生まれにくくなるため、新規ファンの獲得が難しくなるという側面はあるかもしれない。

同窓会と言われつつファンサービスに励むか、蛇足と言われながら新たな展開を生み出すか…。作者は難しい決断を迫られそうだ。

文=「まいじつエンタ」編集部

【画像】

master1305 / PIXTA