ジャニーズ事務所の判断は正しかった? ジュリー氏の取締役残留と100%株保有への批判は被害者不在で加熱する群集心理である

井ノ原快彦、東山紀之、藤島ジュリー景子氏、木目田裕弁護士 

左から、井ノ原快彦、東山紀之、藤島ジュリー景子氏、木目田裕弁護士 (C)まいじつ 

被害者不在で暴走する様は、まさしく過熱した群集心理だ。

マスコミの大バッシングを連日浴びているジャニーズ事務所に関し、一方的な言い分が目に余る。

ジャニーズ事務所は創業者・ジャニー喜多川氏の性加害問題に関し、9月7日に会見を開催。藤島ジュリー景子社長が引責辞任し、東山紀之が新社長に就いたと発表された。

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また、ジュリー氏は取締役に残り、100%株主は変わらないまま、被害者救済が終わった段階で速やかに辞任。今後の業務は、被害者の救済・補償と所属タレントの心のケアのみとすることも、併せて発表している。

会見を受け、ジャニーズ性加害問題当事者の会も同日に会見を開き、代表の平本淳也氏は「ジュリーさんの責任の取り方は、辞めてどこかに行くよりは、はるかに良かったと思ってます。被害者の救済担当取締役という認識です」とコメントした。

また「元々、希望としてはあくまで事務所には残っていただき、責任を取ってほしいと思っていたので、形としては今のところ十分歓迎するところだと思います」と続け、この判断を歓迎し、評価している。

ところが、世論は、被害者自ら評価したこの判断を否定。ジュリー氏の取締役残留や株保有について、ネット上では「責任を取っていない」との批判が殺到しているのだ。

被害者より自己満足の正義感を優先?

これに呼応するように、経済学者の成田悠輔氏は10日放送の『サンデー・ジャポン』(TBS系)で持論を展開した。

「すごい茶番というか、ほとんどギャグみたいな話」「社長は会社において何の権力も実態もないただのラベル、タグみたいなもの。社長が変わったって、何か変わったように見えるが、実態として代表取締役はジュリーさんのまま」「ジュリーさんが100%株主であり続ける構図は全く変わってない。会社を巡る権力関係やガバナンス関係は何の変化もない」と切り捨てている。

しかし、これらの意見は自らのエゴだとも言えるようで…。

「犯罪被害において何よりも大切なのは、被害者の意志。補償を求めるなら補償し、金目当てでなく、誠意ある謝罪を求めるなら謝罪が行われるべき。

被害者が残留を評価している以上、他人が辞任を求めたり、とやかく言うのは意に反する。被害者の意志よりも、自身の正義感を優先する自己満足な言説でしょう。

これが許されるのなら、被害を公表したくない人に『君が被害に遭ったのは知っているから!』と、勝手に告発する行為もまかり通ることになる」(芸能ジャーナリスト)

ジュリー氏の残留や株に関しても同様だ。

「株を手放すと、補償について株主総会で逐一決議しなければならないが、個人が100%保有なら、ジュリー氏の決断だけで迅速に行える。こうした迅速さを見越し、当事者の会は留任を評価したのでしょう。

取締役に関しても、もし辞任して外部の人間が入れば、事件や組織についてイチから頭に入れる必要があり、補償が遅れかねない。そうなった場合、被害者にとっては不幸でしかないが、辞任を叫ぶ人たちはその責任を取れるのかと問いたい。

評価されるべきは、性加害を認めて謝罪した現状と、今後の被害者への対応でしょう」(同・ジャーナリスト)

歴史上に残る大きな事件だけに、冷静な批判を超えた感情論も目立ってきているのかもしれない。

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