『呪術廻戦』参加アニメーターがまたも労働環境を告発…“今後MAPPAとは仕事しない”宣言で大きな波紋

『呪術廻戦』参加アニメーターがまたも労働環境を告発…“今後MAPPAとは仕事しない”宣言で大きな波紋

『呪術廻戦』参加アニメーターがまたも労働環境を告発…“今後MAPPAとは仕事しない”宣言で大きな波紋 (C)PIXTA

先日、TVアニメシリーズの第2期が放送終了を迎えた『呪術廻戦』。続編にあたる「死滅回游」の制作もすでに決定しており、さらに人気が加速していきそうだ。

しかしそんな大ヒット作を手掛けたアニメーション会社・MAPPAをめぐって、アニメーターからの告発が相次いでいる。

事実上の絶縁宣言を突きつけるアニメーター

現在話題を呼んでいるのは、フランス人の若手アニメーター、ヴィンセント・シャンサード(Chansard Vincent)による発言。彼は「呪術廻戦」第41話の魔虚羅vs宿儺戦や『ONE PIECE』ワノ国編のアクションシーンなどを手掛け、近年注目を集めている実力者だ。

ヴィンセント氏は「Konoha TV」というメディアがTwitch上で行ったインタビューにて、「イデオロギー的に労働条件を気にしない会社を手伝いたくない」といった発言を行い、もうMAPPAと仕事をしたくないと考えていることを明かした。

また、インタビューでは短いスケジュールでの作業を強いられたことも語っており、海外のアニメファンを中心として大きな物議を醸している。

「実はヴィンセント氏が事実上の絶縁宣言を行ったのは初めてではなく、数年前の時点で“二度とMAPPAでは働かない”と宣言していました。しかし『呪術廻戦』2期に関しては、台湾人アニメーター・伍柏諭氏の誘いがあったため最後の機会として参加を行ったそうです。

ヴィンセント氏のインタビューによると、その伍柏諭氏も同様にMAPPAとの仕事を避ける意向だそう。海外の有力アニメーターのあいだでは、相当不信感が高まっているのではないでしょうか」(アニメ誌ライター)

国内のアニメーターによる告発も

昨年11月には、「呪術廻戦」第2期に参加していたアニメーターの土上いつき氏やホネほね氏が、自身のX上で意味深な発言を行ったことが波紋を呼んだ。いずれも会社名や作品名は挙げていなかったものの、明らかにMAPPAの「呪術廻戦」と分かる内容で、スケジュールの厳しさなどを指摘していた。

さらに2021年には、『進撃の巨人 The Final Season』に携わっていたアニメーターが、MAPPAの多忙さや社内教育の不十分さなどを指摘した投稿を行ったこともある。

「国内のアニメーターはある程度過酷な環境に慣れているため、そこまで大きな騒動になっていませんが、最近のアニメ業界では海外の人材が参加する機会が増えています。人手不足のため、スケジュールと品質を両立させるには、実力のある海外アニメーターにも頼らざるを得ない…というのが実情なんですね。

とはいえアニメ業界のブラックな体質は、あくまで日本の常識であって、海外では通用しません。今回声を上げたヴィンセント氏だけでなく、今後も海外アニメーターによる告発は後を絶たないものと思われます。

しかも近年のジャンプアニメは、海外での注目度が高い作品ばかり。海外アニメファンもMAPPAへの不信感をあらわにしているため、今後より厳しい状況になっていくかもしれません」(同)

現在のアニメ会社のなかで、MAPPAの制作力がずば抜けていることは間違いない。だからこそ、いち早く労働環境を改善してくれることを期待したいところだ。

文=「まいじつエンタ」編集部

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Kostiantyn Postumitenko / PIXTA