『金スマ』石原慎太郎さん特集が偏り過ぎ? 問題発言スルーで聖人のような扱いに違和感

石原慎太郎

石原慎太郎 (C)まいじつ

1月12日に放送された『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(TBS系)の内容が、視聴者の間で物議を醸している。

この日の番組ではタレント・石原良純の特集が組まれた。今や人気タレントの良純だが、デビューは俳優であり、番組はこうした経歴を紹介。人気のきっかけになった〝イジラれキャラ〟を生んだのが、実は中居正広であったことなどを振り返った。

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物議を醸したのは、2022年に死去した良純の父・石原慎太郎氏をめぐる取り扱いだ。放送内では慎太郎氏も特集され、良純との親子エピソードのほか、亡くなる際の秘話が感動的な再現ドラマで伝えられた。

さらに、作家・政治家としての経歴も振り返ったのだが、生前の発言は「歯に衣着せぬ発言」「時に過激な発言」と、曖昧に触れるのみに留まった。

「慎太郎さんは1976年の環境庁長官時代に、当時深刻な公害問題だった水俣病の視察で熊本県へ。患者に抗議文を手渡されたのですが、夜の会見で『これを書いたのはIQが低い人たち』『補償金が目当てのニセ患者もいる』と発言しました。

都知事時代の99年には、重度障害者が治療を受けている病院を視察し、会見で『ああいう人ってのは人格があるのかね』と発言。退任後の2016年には、19人が死亡した障害者施設での大量殺人について、『文學界』16年10月号の対談で『あれは僕、ある意味で分かるんですよ』と、犯人の植松聖死刑囚に理解を示しました」(政治ジャーナリスト)

最も有名な発言は、11年の東日本大震災の際に発した「天罰」発言だろう。

問題発言の詳細には一切触れず物議

「震災3日後の3月14日、当時都知事だった慎太郎さんは、『津波をうまく利用して、我欲をやっぱり一回洗い落とす必要がある。積年に溜まった日本人の心の垢』『やっぱり天罰だと思う』『日本に対する天罰だ』『大きな反省の一つのよすがになるんじゃないか。それしなかったら犠牲者たちは浮かばれない』などと発言し、猛批判が寄せられました」(同・ジャーナリスト)

『金スマ』はこれらに全く触れず、慎太郎氏を美化するような特集をした形だ。

これに視聴者からは、《石原慎太郎氏を美化した番組やってるんですけど…》《東日本大震災の時に天罰とか言ってるからな…》《石原慎太郎を語る上で、過去の発言は絶対忘れてはいけないことだ》など、批判が噴出している。

「威勢のいい慎太郎氏でしたが、晩年は逃げの姿勢が目立ちました。17年、豊洲市場の移転問題で、決定時の責任者として都議会に証人出席した際には『脳梗塞の後遺症で全ての字を、平仮名さえ全部忘れた』と告白。『記憶を引きだそうとしても思い出せない』と〝記憶にない〟を連発しました。これには、日本維新の会で同じ党の仲間だった東国原英夫も、Xで《字を忘れた人間が小説(昨年「天才」等を上梓)を書けるのか? キーボードを打てるのか? あんなに饒舌に喋れるのか? それこそ、偽証罪では?》と苦言を呈していました」(政治記者)

彼が亡くなった際、米ワシントン・ポストは「女性や人権団体をしばしば怒らせる性差別発言や人種差別発言をしたことで、より記憶されていた」と紹介し、ウォール・ストリート・ジャーナルも「彼はアメリカ人や中国人、そして自国民を何度も怒らせた扇動者」と書いていた。

たしかに「時に過激な発言」なだけに、聖人扱いで特集すれば、賛否もやむないだろう。

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