成田悠輔氏の発言が炎上する理由は「過激」だからではない。元放送作家・長谷川良品氏がキリン広告取り下げから考える

元放送作家の長谷川良品氏は3月13日、自身のYouTubeチャンネルに投稿した動画の中で、キリンが成田悠輔氏の広告起用を取り下げたことについて言及。「過激な言葉に陶酔している」と成田氏に忠言した。

成田氏は各メディアで「高齢者は老害化する前に集団自決すればいい」と持論を展開し、人権を軽視していると批判を浴びていた。キリンが『氷結』のWEB広告に成田氏を起用したところ問題視され、13日に同社は広告を取り下げた。

【関連】成田悠輔氏起用の広告取り下げに異議の声「心中する覚悟で起用しろよボケ」木曽崇氏、DaiGo氏、箕輪厚介氏が私見 ほか

長谷川氏は成田氏の発言について「比喩ではあると個人的には思っています。新陳代謝、世代交代が一向に進まないという日本の欠点を指摘するために、彼があえて口にした下剋上を促す過激なメッセージ。とはいえ、さすがにいきすぎじゃないですかね。しかもその自分の過激な言葉に陶酔している節がある。こうしてエイジズムを助長し世代間闘争をあおる言葉には懸念しかありません。そもそも本来、学識者であれば誰よりもセンシティブになるシーンにおいて、あえて挑発的に誤解を招くような発言をされるのが不思議です」と疑問視した。

その上で長谷川氏は成田氏について「なぜこうも批判を集め続けるのかというと、それは単純に発言そのものが過激だからではなく、その発言のゴールが笑いになっているからである」と分析した。注目を引く言動はテレビ的、芸人的だとし「成田さんが強い言葉、毒を吐く際は、ほぼ全てのシーンにおいて“ここ笑いどころですよー”というような、ほんのわずかな間があります。人の誘い笑いにも通じる、表情の記号化ですよね。なんなら最近では、誘い笑いさえします。そして笑いが起きれば満足げにドヤる。逆にスベると不安げな表情を見せキョドる」と指摘。

その上で長谷川氏は「成田さんの発言の炎上の原因は、全てこの芸人ごっこにあります。何しろ笑いには一定の経緯だったり愛嬌を下地にしたアイロニーやその他、様々な複雑な要因が絡み合うことで成立するのに、彼の場合は単純に言ってはいけない過激な発言をすることがイコール笑いになると勘違いしているところがある」と持論を展開した。

長谷川氏は「上っ面だけのきれいごとだけで言葉を構成しろなどと乱暴な指摘をしているわけではなく、言ってはいけないことを笑いを取るための道具にするのは危険ですよと、そういう指摘をしているわけです」と成田氏に忠告した。そして「センシティブな発言のインセンティブに笑いを渇望すると、これは憎悪しか生みません。笑いというのはやっぱり暴力を超える暴力なんですよね」と締めた。

視聴者は「同氏への違和感を見事に言語化されてますね」「芸人ごっこ、言い得て妙ですね」と長谷川氏に同意している。

参考:YouTubeチャンネル『長谷川良品「テレビ悲報ch」』

【あわせて読みたい】