藤井聡太七冠「王位戦」普通の手になぜ1時間? 突然止まった理由

画/彩賀ゆう (C)まいじつ

藤井聡太七冠(王位)に佐々木大地七段が挑む、王位戦七番勝負第2局は7月13日に開始。2日制の1日目(13日)夕方、藤井七冠が「封じ手」をして14日の2日目に引き継いだ。

1日目終了前、藤井七冠は59分の長考をした。これが話題になっているが、藤井七冠に何があったのだろうか。

2日制の王位戦は、1日目の午後6時を迎えると、手番を持つ対局者が次の手を用紙に書き、封筒の中に入れる「封じ手」を行うのが決まりだ。

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1日目は封じ手をもって対局中断となる。2日目の午前9時に立会人が封筒を開け、指し手を読み上げて対局が再開される。

藤井七冠は持ち時間8時間のうち59分を費やし、1日目の午後6時過ぎに44手目を封じた。放っておけば取られる角を逃がすため、2通りの手を比較したものとみられる。

ただ、この2つの選択肢はアマチュアでも早期に決断できそうに思えた。なぜ封じ手まで約1時間にわたり考え続けたのか。

59分わざと考えてリスクを避けたか

「複数の要因があったのだろう。2つの手の比較が難しかったというのもある。持ち時間の使い方を巡り、2人の間で駆け引きがあったとみられる。

王位戦は持ち時間各8時間もあるが、一手に1時間以上使って翌日に持ち越すのは一見、時間がもったいないように思える。

だが、藤井七冠がどちらを選択したとしても、佐々木七段が次に指す手は比較的明確にも見えた。

佐々木七段の43手目は午後5時になってからの着手だった。

藤井七冠が仮に44手目を1日目のうちに指したとして、佐々木七段が45手目を早めに指した場合、藤井七冠は46手目を1日目のうちに封じ手にしなければならない。

それではミスが生じると恐れ、藤井七冠は早期に44手目を決断したものの59分も費やしたのでは。1日目は封じ手以降、持ち時間が消費されない。

44手目を封じれば一晩かけて45手目を想定し、翌日に46手目を比較的時間を使わず指すことができる」(将棋記者)

実際、2日目の再開後、佐々木七段は45手目を10分で指した。佐々木七段にとって、封じ手の44手目は想定内だったのだろう。

藤井七冠は慎重な時間配分でリスクを避けたと言える。

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