島田紳助もSMAPも消えても大丈夫だった 松本人志が抜けても何も変わらない日本のエンタメ業界

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松本人志 画/彩賀ゆう (C)まいじつ

『週刊文春』で複数女性への性行為強要が報じられ、「裁判に注力する」として芸能活動を休止した『ダウンタウン』松本人志。その休止期間は数年に及ぶと見られ、中にはこのまま引退するのではとも囁かれている。

これを受け、SNSでは「芸能界への打撃」「エンタメが終わる」など、被害者への誹謗中傷が後を絶たないでいる。だが、これは果たして本当だろうか?松本信者がオーバーな表現をしているだけではないだろうか。

まずは同様の例を見てみよう。第一線から突然退いた芸人といえば、代表格は島田紳助氏だ。

紳助氏は2011年、反社会勢力との関係が明るみになり、電撃引退を表明。当時のお笑い界では明石家さんま・タモリに次ぐ大物司会者で、数々の冠番組を持つだけに、その影響が懸念された。

しかし蓋を開けてみれば、『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)、『人生が変わる1分間の深イイ話』(同系)、『開運!なんでも鑑定団』(テレビ東京系)、『オールスター感謝祭』(TBS系)といった番組は、MCを交代してその後も継続。いずれも今なお人気番組であり、『深イイ』が終わったのも一昨年と、紳助氏の影響とは無関係だ。

ドラマ・バラエティー・音楽とマルチに活躍し、芸能界の〝トップオブトップ〟を極めた『SMAP』も同様だ。

彼らは〝唯一無二の存在〟として多くの国民に支持され、16年の解散時には、エンタメ界全体への打撃が叫ばれた。だが、解散した後は『嵐』や『King & Prince』といった後輩たちがこの枠に入り込み、穴埋めを行ったのもまた事実である。

音楽界では、18年に引退した安室奈美恵も、その後多くの女性シンガーの登場により代役が務まっている。紳助氏、『SMAP』、安室ほどの大物でも消えたら消えたで代わりが現れ、絶対的な存在なんていないのが、芸能界の悲しい現実なのだ。

「松本的センスがお笑いのスタンダード」の刷り込み

ここでようやく本題だ。松本が休止・引退した場合、その影響はかなり大きいのだろうか。結論から言うと、答えは「NO」となる。

松本は多くのレギュラー番組を持っているが、『クレイジージャーニー』(TBS系)、『探偵!ナイトスクープ』(朝日放送)はVTRを眺めるだけ。スタジオパートのトークやワイプツッコミもあるが、いずれも〝刺身のツマ〟であり、松本が消えたところで影響はない。

松本出演番組で最も人気の高い『水曜日のダウンタウン』(TBS系)も、VTRを眺めるだけ。そもそも、同番組はプロデューサー・藤井健太郎氏の悪意ある企画力が面白いだけで、松本の存在意義は少ない。VTRやスタジオのツッコミは、その都度出演するツッコミ芸人にやらせればいいことである。

『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)はゲストトークがメインだし、回し役は浜田だ。松本がオチ要員を務めているが、以前も浜田だけで回したことがあるので、問題はないだろう。『人志松本の酒のツマミになる話』(フジテレビ系)もゲストトークがメインで、別の芸人で回し役を立てれば番組は成立する。

『まつもtoなかい』(同系)、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ系)はまだ影響ありそうだが、これもリカバリーは充分可能だ。『まつもtoなかい』は松本単独がメインではないため、中居正広のMC力でゲストとトークすれば番組は成り立つ。

『ガキ使』も松本が企画や構成を務めているとはいえ、高須光聖氏、菅賢治氏といった右腕の作家陣で充分に補える。臼井儀人さんが亡くなった後、残されたスタッフで『クレヨンしんちゃん』が連載できているようなものだろう。

『キングオブコント』『M-1グランプリ』といった審査員も、他の大御所に代わればいい話。そもそも『M-1』自体、松本がいなくなってもさんま辺りの大御所が審査員になった方が、話題性も高まり大会は盛り上がる。

そう、〝お笑い界のトップ〟という先入観に侵されているだけで、別に松本が消えたところで穴埋めはできる。「エンタメ界に打撃」などと被害者に卑劣なセカンドレイプを浴びせているのは、「松本的センスがお笑いのスタンダード」との刷り込みで育ってきた〝松本信者〟だけだろう。

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