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ここ数年、ネット上では新たなエンタメジャンルとして〝VTuber〟が隆盛を極めている。そんなに流行っているのならと、彼女らの動画やライブ配信をのぞいてみたことのある人も少なくないだろう。
だが、VTuber界隈は日本社会の縮図とも言える〝格差〟〝搾取〟の構造が出来上がっており、足を踏み入れるのは大きな危険性を孕んでいるのだ。
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搾取の構造を説明するには、まずVTuber界隈の景気がどれだけいいかに触れる必要があるだろう。5月12日に発表された人気VTuberグループ『ホロライブ』を運営するカバー社の決算によると、売上高は前年比+49.7%の204億円。
在籍VTuberあたりの収益は年間だと約2億7000万円で、配信者への報酬は全体で40~50億円。所属が75名のため、単純計算で1人あたり年収6000万円という超高所得者に該当する。
一方、我が世の春を謳歌している彼女らを支えているのは、高所得とは程遠い庶民である点にも注目したい。
ネット掲示板やSNSを見ると、VTuberへのスパチャ資金捻出のため、消費者金融やクレジットカードのキャッシング枠に手を出してしまったというエピソードを多く目にする。
マイホームの購入資金を切り崩したという叫びもあるほどで、配信者が左団扇で優雅な生活をする中、弱者男性たちが搾取されているのは厳然たる事実だ。
貧困層が億万長者を支えるグロテスクな構造
VTuberは、彼氏の存在を隠しながら、陰キャやコミュ障を装うことで弱者男性に親近感・恋心を抱かせ、高額のスパチャを投げさせることでその産業が成り立っている。
だが、当然のことながら男性ファンの恋心は叶わず、ましてや手元に残るものは何一つない。
例えば、定価より明らかに高額な壺を買わせる詐欺に引っかかってしまったとしても、手元に品物は残る。しかし、VTuberへのスパチャで残るのは虚無感だけで、気付いた時には生活に支障をきたしているパターンもあるようだ。
「仕事のストレスや非モテの鬱憤を、キャバクラ・風俗等で癒すのが、従来の弱者男性でした。VTuberが上手かったのは、対面では異性とコミュニケーションをとれない弱者男性の多さにつけ込み、家にいながらにしてチャットでこれを行わせたことでしょう。
〝バーチャルキャバクラ〟という揶揄はしっくりきますが、実のところ、画面の前の絵に声を当てているのは、年齢も容姿も分からない人物です。それどころか、ボイスチェンジャーを使った男性であるケースもあり、はっきり言えばVTuberにハマるなど非生産的であることにほかならない。
ヒモ男子に貢ぐように〝私が支えなきゃ…〟と思わせる依存性があるのも、かなり怖いところと言えるでしょう」(週刊誌記者)
その資金を趣味や資格、自分磨きに費やすことが、最も彼らを弱者から抜け出させる近道であろう。無産階級が必死に集めた金を虚業で吸い上げる、まさに現代の搾取構造といえるかもしれない。