『VIVANT』宣伝ナシで大失敗! 第3話の“過去最高視聴率”が喜べない理由

堺雅人 

堺雅人 画/彩賀ゆう  (C)まいじつ 

壮大なモンゴルロケや、事前情報なしの宣伝手法で話題の日曜劇場『VIVANT』(TBS系)が好調だ。

2時間の拡大となった第1話は、ビデオリサーチ調べ、関東地区で世帯視聴率11.5%、個人7.4%。前クールの『ラストマン-全盲の捜査官-』の初回世帯視聴率14.7%を大きく下回るスタートだった。

【関連】『VIVANT』ジャニタレ抜きで正真正銘のトップへ! あっさり『silent』超えか ほか

しかし、25分拡大の第2話は同11.9%、7.2%と上昇し、7月30日放送の第3話は13.8%、8.9%と過去最高を記録。右肩上がりの数字を残し続けている。

「初回に『嵐』の二宮和也をサプライズ登場させたことが大きい。彼は言わずと知れた人気タレントだし、すでに主演しかやらないクラスなので話題性も抜群。二宮級のビッグゲストがまた出るかもしれないと、視聴者の興味を引ける。

再登場を期待する『嵐』ファンや、叩くネタをウォッチしているアンチも取り込めるし、話題作りとしては完璧と言っていいだろう」(ドラマライター)

回を追う毎に数字が上がっている辺り、途中からの視聴者が多いことがうかがえる。しかし、同作の期待値は放送前から高かった。

「6月末、映画・ドラマ・アニメレビューの国内最大級サービスが、夏ドラマに関して大規模調査を行いました。その結果『VIVANT』は、2位の『真夏のシンデレラ』(フジテレビ系)に300ポイント以上の差をつけて堂々のトップ。放送前から期待値は高かったのです」(芸能ライター)

『君たちはどう生きるか』と同じ? 宣伝の重要性

このように、現在のところヒットを収めていると言っていい「VIVANT」。しかし、もっと数字を獲れる可能性を秘めていた、もったいない作品とも言われている。

「キャストやインパクトでなく、内容で支持を集めているドラマは、視聴者が脱落せず最後まで見続けるパターンが多い。逆に言うと、初回から多くの人に視聴されれば、その後も高い数字を維持できます。

初回視聴率は事前の宣伝に左右されますから、〝事前情報なし〟という変化球ではなく、ストレートに大々的に宣伝を行っていれば、『VIVANT』は今よりもさらに高い数字を獲れていたはず。事前データの高い期待値も、結局はドラマファンの間だけだったということでしょう」(前出・芸能ライター)

宣伝なしの手法でヒットした作品といえば、現在公開中の宮崎駿監督最新作『君たちはどう生きるか』が話題。だが、こちらも宣伝次第で、さらなるヒットが見込めたとの見方がある。

「同作はポスター以外一切の情報がありませんでしたが、7月だけで観客動員数305万人、興収46億9300万円を記録。公開1カ月足らずで大ヒットの数字を残していますが、宣伝すればもっと数字は見込めたでしょう。

なんせ、SNS界隈にすら、いまだにジブリの新作がやっていると知らない人も多いくらいですから。この層をごっそり持っていけたと考えれば、相当な余地があった。年齢的に宮崎監督最後の作品になる可能性もありますし、そこを上手く煽れば、この時点で60億円もあり得たでしょう」(同)

ネットやスマホの発達で広告や宣伝には不要論が噴出しているが、この結果を見ると、まだまだ必要性がありそうだ。

【あわせて読みたい】