ドラマ『セクシー田中さん』(日本テレビ系)の原作を手掛けた漫画家の芦原妃名子さんの急死を受け、多くの漫画家・脚本家・作家から追悼コメントが寄せられている。
『南国少年パプワくん』などを手掛ける漫画家の柴田亜美氏は4日『ワイドナショー』に出演。「実写ドラマ化の難しさの話も聞いていました。そして今回、一番悪い形で出たなと思いました」と涙ながらに語り、「脚本家の方を責めるのは止めていただきたいです」と呼びかけた。「33年間、漫画家をやっている中で一番ショックな出来事でした」「漫画家全員がいま動揺しています」と声を震わせ、漫画家と編集者に「自分を大切にしてください」と訴えた。
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『ラブひな』『魔法先生ネギま!』で知られる漫画家の赤松健氏は1月29日にX(旧Twitter)を更新。「漫画や小説のメディアミックス企画(アニメ化やドラマ化)では、昔から頻繁に『原作者の望まない独自展開やキャラ変更』などが問題になってきた」と振り返り、ここ数年は改善傾向が見られるものの、それでも「『(原作者への)事前説明の徹底』と『二次使用に関する契約書』の詰めが甘い」と指摘。「主に出版社と制作側(製作委員会など)側の問題だが、原作者側でも『事前の説明で納得がいかなかったり、後から約束と違うようなことがあった場合の相談場所やその知識』が必要になってくる」と総括した。
あってはならない事が起こってしまった。漫画や小説のメディアミックス企画(アニメ化やドラマ化)では、昔から頻繁に「原作者の望まない独自展開やキャラ変更」などが問題になってきた。もっとも近年は「原作者へのまめな報告や根回し」が行われるようになり、昔のような「原作者が協力を拒否して(オ… https://t.co/3y1uLG5A3U
— 赤松 健 ⋈(参議院議員・全国比例) (@KenAkamatsu) January 29, 2024
『ムーンライト・シャドウ』などの映像作品で原作を手掛ける、作家の吉本ばなな氏も1月29日にXに追悼コメントを投稿。「原作者として、長年、国内外のいろんな脚本家監督プロデューサーと巡り合いました。すばらしい人もいれば、最低の人もいました」と自身の体験を述べ、「今わかることは、どんな目にあっても良い原作は必ず長く残るということです。誰もそのときの作品を汚すことはできない、作者さえも。だから、死なないでほしかった。原作の田中さんや朱里ちゃんの真摯な思いやダンスというものの神聖さや奇跡は永遠です」と思いを綴った。
原作者として、長年、国内外のいろんな脚本家監督プロデューサーと巡り合いました。すばらしい人もいれば、最低の人もいました。悪気なく、面白くなる!と酷い脚色をする人もいました。意見を言っても、「原作者はデリケートだから」とダダをこねる幼児みたいにあやされることもありました。…
— 吉本ばなな (@y_banana) January 30, 2024
劇作家の鴻上尚史氏は4日にXを更新。「僕はずっと今回の悲劇を『原作者と脚本家』の問題にしてはいけないと思っていました」と今回の騒動を分析し、「問題は、『変えないで欲しい』という原作者さんの意向をちゃんと出版社が伝えたかどうかです」「プロデューサーが『絶対に変えないで欲しい』という原作者さんの意向をどれぐらいのレベルで伝えたのか。そして、出版社は、どれぐらいの熱意で、その言葉をテレビ局に伝えたのか。 そこを問題にしないまま、『原作を変えることは是か非か』という論点にシフトすることは、意味がないと僕は思っています」と主張した。
痛ましい出来事の激震が続いています。僕自身、原作を提供したこともあるし、脚色したこともあります。僕はずっと今回の悲劇を「原作者と脚本家」の問題にしてはいけないと思っていました。… https://t.co/XT6m6J9M0A
— 鴻上尚史 (@KOKAMIShoji) February 4, 2024
脚本家の三谷幸喜は3日、レギュラーの『情報7daysニュースキャスター』に出演。「脚本家はできる限り、原作者の思いを汲んで。世界観は原作者が考えたものだから、それを逸脱してはいけないと思うんです」と語り、自身は脚色は得意ではないと明かした。そして、「アカデミー賞だって脚本賞と脚色賞が別れている。オリジナル脚本と脚色って、それぐらい違うものなんです」と両者の立場の違いを解説。「原作者、プロデューサー、脚本家がきちんと心をひとつにして作っていかないと、きっといろんな問題が起こっていくんだなと思いますね」と結論づけた。
小学館は8日になって「現在、調査を進めており、今後、再発防止に努めて参ります」とコメントをホームページに掲載している。