先日、全世界出荷本数1200万本突破が報じられた『ELDEN RING』(エルデンリング)。まさしく数年に一度の大ヒット作となっているが、華々しい成功をうらやむ業界人も多いようで、海外では『Horizon』シリーズの関係者たちが炎上騒動に見舞われている。
ツイッター上で堂々と欠点を批判…
事の始まりは3月3日。「エルデンリング」がメタスコアで97点を獲得したことについて、『Ubisoft』のUXデザイナー・Ahmed Salama氏がツイッター上で皮肉ってみせた。
するとそれに続いて、『Horizon』シリーズの開発メンバー2人が、PC版のグラフィックやクエストデザインを腐すようなリプライを送信。ゲーム業界の人間がこぞって「エルデンリング」叩きをしたことで、当然炎上してしまった。
最終的に3人のうち2人はアカウントに鍵をかけて“逃亡”。なぜ実名のアカウントでこのような暴走に及んだのかは分からない。もしかすると、発売日が近かった新作『Horizon Forbidden West』が、「エルデンリング」に話題をかっさらわれたことを恨んでいたのかもしれない。
日本のネットユーザーも一連の騒動にあきれ顔で、《ホライゾン開発者がエルデンリング叩いてるらしいけど完全に嫉妬でしょ》《エルデンリングの成功をホライゾンの開発者があれこれ苦言してたのマジでダサい》《クリエイターなら作品で戦えよ》《なんで炎上したのか発言した開発者たちは考えたまえよ》といった批判があふれている。
「エルデンリング」人気の理由
おそらく『Horizon』関係者が炎上したのは、批判が的外れだったことも原因の1つだろう。彼らは概ね、「エルデンリング」がユーザーに対して不親切であることや、グラフィックのレベルなどを問題視していた。
しかしそもそも「エルデンリング」のウリは、プレイヤーに“不親切”であること。『フロム・ソフトウェア』が築き上げてきたのは、プレイヤーを手取り足取りサポートするようなゲームではない。むしろ多少不便だからこそ燃えるという、人間の挑戦心を煽るものだった。
実際、「フロムゲー」のUI/UXデザインの評価は高いとは言い難い。次にクエストをどんな風に進めればいいのか分かりにくい上、NPCキャラがどこに行ったのかも追跡が難しい。しかし、そういった面で「エルデンリング」の評価が下がることはないだろう。
逆に「エルデンリング」のヒットが意味しているのは、“親切なゲーム”がユーザーの欲求に合っていないということではないだろうか。昨今のゲームに甘やかされたプレイヤーほど、どこまでも過酷で突き放されるような「狭間の地」に魅了されるのかもしれない。
プレイヤーの目線に立つことも重要だが、独自の哲学にもとづいてゲームを開発しなければ熱量の高いファンは生まれにくい。「フロムゲー」が愛される理由は、その尖った姿勢にあると言うべきだろう。
文=「まいじつエンタ」編集部
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