「百合は売れない」は本当なのか? 漫画家やラノベ作家が語ってきた“業界の通説”とは

「百合は売れない」は本当なのか? 漫画家やラノベ作家が語ってきた“業界の通説”とは

「百合は売れない」は本当なのか? 漫画家やラノベ作家が語ってきた“業界の通説”とは (C)PIXTA

女性同士のエモーショナルな結びつきを描いた「百合」というジャンル。さまざまなヒット作が生まれているようにも見えるが、業界人の間では「百合は売れない」という方程式が知られているらしい。先日は漫画家・ヒジキ氏が、ツイッター上で漫画業界の通説を明かしていた。

以前から指摘されてきた「百合は売れない」

ヒジキ氏は漫画雑誌『コミックキューン』5月号から、『ケイヤクシマイ』という新連載をスタート。同作は“義姉妹百合”にスポットを当てた作品だが、その売れ行きを危惧しているようで、《『百合は売れない』って業界の通説があるので、もし気に入っていただけたら巻末アンケート送ってもらえるとめちゃくちゃありがたいです》と訴えた。

どうやら初動の反響が、今後の連載に大きな影響を及ぼす模様。ヒジキ氏は《世の中にもっと百合漫画増えろ増えろ増えろ》と切実な想いを綴っている。

同じような認識の人も多かったようで、ネット上では《確かにどの本屋も、BLコーナーがあるのに百合コーナーはないもんな》《百合豚は声だけはでかいからな》《どうしても市場の小ささは否めないとは思う》といった声が。

たしかに漫画にかぎらず、「百合は売れない」という通説は以前からよく耳にする。ライトノベル作家のおかざき登氏は、以前ツイッター上で《「ごちうさ」的なジャンルとラノベは相性が悪い》《何が問題かというと、「主人公(男)の不在」です。これがないと、ラノベは売れない》といった業界事情を語っていた。

最近のオタクは百合に慣れてきた?

とはいえ、アニメなども含めて考えれば、近年では百合ジャンルのヒット作がそこそこ多く生まれているように見える。今年の冬アニメでいえば、『明日ちゃんのセーラー服』の評判が良かった印象だ。

また、百合作品で売れるようになるハードルは、媒体によっても違うのだろう。たとえばライトノベル業界で、「主人公(男)の不在」がネックになってしまうのは説得力がある。やはり小説は男性読者が一人称で感情移入するため、男主人公が求められるということだ。

しかしそんなライトノベル界隈ですら、最近ではごく一部「女性主人公」のヒット作品も出るようになってきた。具体的には、『魔女の旅々』や『安達としまむら』、『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった』などが挙げられる。とくに『安達としまむら』は直球の百合作品だが、“売れたライトノベル”と言っていいはず。

思えば、百合作品の大ヒットといえば10年ほど前の『けいおん!』や『ゆるゆり』といった作品などが印象的。そろそろオタクたちも、女主人公やゆるい百合のたしなみ方が身についてきたのかもしれない。

文=「まいじつエンタ」編集部

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