最近の『週刊少年ジャンプ』では、社会現象クラスのメガヒット漫画が次々と生まれている。編集部はその2匹目のどじょうを狙っているのか、似たような作品が掲載されることも。4月25日発売の21・22合併号では、『鬼滅の刃』にそっくりな読み切りが掲載された。
絵柄から「長男」要素まで
話題を呼んでいるのは、石川理武による読み切り『夜叉羅刹改方』。扉絵では「鬼刃、奸悪を断つ」というフレーズが記されており、正義のために悪しき妖怪を罰する鬼神・大嶽丸の活躍が描かれている。
作品の舞台は、人間と妖怪が共存する江戸の世。冒頭から巨大なカエルのような妖怪が人間を屠る展開が繰り広げられ、日本刀を使った痛快なアクションや、人情味あふれるストーリーなどに発展していく。
しかしそんな同作について、読者からは《今週のジャンプ読み切り鬼滅インスパイアしすぎじゃね?》《読み切りはわかりやすい鬼滅フォロワー 顔の書き方がまんまそれ》《読み切りがすごく鬼滅み溢れてるなあって感じた。台詞とか刀が雷纏ってるとことか》といった指摘が相次いでいる。
「鬼滅の刃」との類似点として挙げられているのは、人間を食らう妖怪や、大嶽丸の「鬼」という設定、絵柄のテイストやセリフ回しなど。また、少年が“長男”として活躍する場面もあった。
なお、作者は同号に掲載されたプロフィールにて、「鬼滅の刃」を好きな漫画に挙げている。絵柄や設定が似ていたのも、それなりの理由があるのだろう。さらに、担当編集者も紹介されているのだが、その人物は過去に「鬼滅の刃」の担当だった経歴の持ち主だ。
「呪術」フォロワーも量産体制か
その一方、本誌ではなく『ジャンプ+』でも似たような動きが。4月23日に掲載された読み切り『國我政宗の呪難』の設定が、大ヒット漫画『呪術廻戦』に似ていると話題を呼んでいた。
読切『國我政宗の呪難』配信開始されました!https://t.co/JU63pwHBsa
ぜひ、ご一読よろしくお願い致します! pic.twitter.com/caWbY0MrY4
— 少年ジャンプ+ (@shonenjump_plus) April 22, 2022
同作は、特異災害研究室の職員・國我政宗が主人公。彼は秘術師の名家である國我家の生まれで、周囲から一目置かれる実力者だ。穏やかな日々を望んでいるのだが、とある依頼によって、誘拐事件を起こした術者の制圧に向かう…という展開が描かれた。
術師たちが「二級」などとランク分けされている点は、「呪術廻戦」と同じ。また、呪術界上層部を連想させる「術理院」という組織や、御三家のように君臨する名家など、ディテールについても似通った部分がある。
さらに極めつけは、終盤に登場する“大技”の描写。その見た目が「領域展開」と瓜二つだと感じる人が多いようで、《二番煎じの感はぬぐえないし、領域展開感が否めない》《領域展開しててワロタ》といった感想が上がっていた。
もちろん相違点もあり、少年ではなく大人たちの活躍をリアルに描写しているのは「呪術廻戦」にはない要素だろう。雰囲気は青年漫画に近いため、もし連載化されれば、別のファン層を発掘できるかもしれない。
まさに“蟲毒”状態の「ジャンプ」だが、次はどんなヒット作が生まれてくるのだろうか。
文=野木
【画像】
FabrikaSimf / PIXTA