新作ソシャゲ『ヘブバン』も大ヒット!“作曲家・麻枝准”が生み出した神曲3選

新作ソシャゲ『ヘブバン』も大ヒット!“作曲家・麻枝准”が生み出した神曲3選

新作ソシャゲ『ヘブバン』も大ヒット!“作曲家・麻枝准”が生み出した神曲3選 (C)PIXTA

『AIR』や『CLANNAD』などの名作を生んできた麻枝准。その才能はシナリオだけでなく音楽方面でも飛びぬけており、新作ソシャゲ『ヘブンバーンズレッド』も大きな話題を呼んでいる。これまでどんな楽曲を手掛けてきたのか、その足跡を振り返ってみよう。

切なさと激情のあいだで

<その1>Lia『夏影』
2000年にPCゲームとして発売され、今もなおオタクの聖典的扱いを受けている恋愛アドベンチャー『AIR』。Liaの『夏影』は、同作を象徴するBGMの1つだ。

壮絶な運命を背負ったメインヒロイン・神尾観鈴のテーマ曲となっており、儚くも力強いメロディーが印象的。“作曲家・麻枝准”のイメージを決定づけた曲でもあり、発表から20年以上経った今でも、数多くのカヴァーやRemixが発表されている。

夏らしくさわやかなイメージの曲だが、実は映画『菊次郎の夏』で使用された久石譲の『Summer』をオマージュしたものではないかという噂も。実際にはコード進行がたまたま被っただけのようにも思われるが、天才同士は近い感性を持つ…ということなのかもしれない。

<その2>Girls Dead Monster『Little Braver』
麻枝といえば、ピアノの切ないメロディーが胸を打つバラードのイメージが強い。しかしその一方、荒削りでパンキッシュなバンドサウンドも得意としている。「ヘブンバーンズレッド」でも序盤から疾走感のある楽曲が存在感を発揮していた。

そうした方向性でもっとも多くの注目を浴びたのは、Girls Dead Monsterによる楽曲だろう。Girls Dead Monsterは、2010年に放送されたアニメ『Angel Beats!』の劇中に登場するガールズバンドだ。

どれも名曲ぞろいなのだが、その中でもとくに『Little Braver』は、麻枝楽曲のラウドな一面を存分に堪能できるのが魅力。発売当時、オリコンデイリーランキングで1位を獲得するなど、多くの人を魅了した1曲だった。

ちなみにGirls Dead Monsterは、『鬼滅の刃』で一躍国民的シンガーとなったLiSAが、メジャーデビューを果たすきっかけとなったバンドでもある。デビュー当時の荒削りな歌唱も必聴だ。

「恋」をめぐるエモーショナルなフレーズ

<その3>Key Sound Label『僕らの恋』
ゲームやアニメの劇中曲をメインに作成している麻枝だが、実は単発のオリジナルアルバムも何枚か発表している。とくに隠れた名曲が多いのが、2005年に『Key Sound Label』からリリースされた『Love Song』。ボーイミーツガールを主題としたコンセプトアルバムとなっており、『僕らの恋』というバラードソングの名曲が収録されている。

やさしげなピアノのメロディーと、ストーリー調の歌詞が美しく、コアなファンからひそかに支持を集めている1曲。麻枝自身も、特別な思いがあることを度々語っていた。

そんな想いが募ってか、2020年に麻枝が原作・脚本・音楽を務めたアニメ『神様になった日』のBGMでも、同楽曲のフレーズがサンプリングされることに。なお、そのBGMは『僕らの恋心』と題されている。

以上のように、麻枝は20数年にわたるキャリアのなかで名曲を数えきれないほど生み出してきた。おそらくそれを可能にしたのは、彼の“音楽オタク”としての一面だろう。2009年ごろに公開されていた『Angel Beats 開発日記』では、1年で476枚ものCDを購入したことが明かされていた。

そうした蓄積の影響か、現在も作曲の才能は衰えておらず、「ヘブンバーンズレッド」でも現在進行形で数々の新曲を発表している。これからも号泣必至の“神曲”に期待できそうだ。

文=富岳良

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