5月24日に配信デビューし、VTuberの歴史を塗り替えるほどのバズり方を見せている『にじさんじ』の壱百満天原サロメ。人気の理由としては、これまでVTuberを見てこなかった層を取り込んでいるからではないか…とも見られているようだ。
古のアニメオタク層を開拓?
壱百満天原サロメは、「本当のお嬢様に憧れる一般女性」という尖ったキャラクターの女性VTuber。「おハーブですわ~!」といった圧が強めのお嬢様口調が特徴的で、連日行っている『バイオハザード7 レジデント イービル』のゲーム実況には、ほぼ毎回10万人以上の視聴者が集まっている。
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🦂29日23:00~🦂
おバイオのお時間ですわ~~!
本日も⚠23時開始⚠ですわよ!
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— 壱百満天原サロメ💯🦂 (@1000000lome) May 29, 2022
ライブイベントやゲーム大会といった大型企画ならともかく、通常配信でコンスタントに10万人前後の同時視聴者数を記録するのは、かなり異例。「にじさんじ」はもちろん、VTuber全体、さらには配信者全体まで視野を広げてもほとんど見当たらない。
そのため、これまで「にじさんじ」の所属VTuberを見てきたファンだけでなく、別の層からも視聴者を引っ張て来ていると考えるのは、自然な流れと言えるだろう。
そんな彼女が開拓した新規層の1つとして、比較的年齢が高い“おじさん”のアニメオタクに刺さっていると指摘する声も。この手のタイプのオタクは、VTuberの知識がキズナアイ登場から月ノ美兎のデビューあたりで止まっている印象だが、壱百満天原サロメがきっかけで戻ってきたのかもしれない。
おじさんに優しい配信スタイル
実際にSNSなどでは、壱百満天原サロメの口調や声質について、《サロメ様から感じる90年代アニメ感》《セルアニメ黄金時代を彷彿とさせる声質で前のめりになった》《サロメちゃんかわいい平成アニメキャラ》《発声の仕方が90年代アニメ感ありますわ》といった声が。どうやら古き良きアニメヒロインを思い出させる話し方をしているらしく、かつての林原めぐみや三石琴乃に声が似ているとまで言われている。
本当に似ているかどうかはさておき、「話し方の圧が強いお嬢様キャラ」は確かに90年代アニメあるある。今はあまり見なくなった金髪縦ロールで「ごめんあそばせ!」などと言うコテコテなお嬢様キャラ感が、往年のアニメファンを喜ばせている可能性もある。
また、口調やキャラクター性とは関係ないが、配信1回あたりの平均時間が長くても1時間半というところも、おじさんが追いやすいポイントなのかも。最近は1回で何時間も配信するゲーム専門ストリーマーのようなスタイルが当たり前だったが、おじさん視聴者が長時間配信を追うのは困難。その点、壱百満天原サロメは決まった時間帯に1時間ちょっと配信するだけなので、おじさんに優しい。
そして何よりおじさんたちは、“ただのストリーマー”ではなく、“キャラクター”としてのVTuberを望んでいた節がある。初期の頃に人気だったキズナアイなどのバーチャルYouTuberは、まさしくアニメから飛び出してきたような存在。壱百満天原サロメの台頭により、いま一度キャラクターコンテンツとしてのVTuberが見直されるかもしれない。
文=大上賢一
【画像】
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