2000年代に大ヒットしたオシャレアニメ『モノノ怪』が、2023年に完全新作劇場版としてよみがえることが決定。しかし同作の先行きに、早くも暗雲が漂っている。有名アニメーターの橋本敬史氏が、制作スタッフから降りたことを告白したのだ。
橋本氏が語った現場の裏事情
TVアニメ版の『モノノ怪』は、2007年にフジテレビ系の『ノイタミナ』枠で放送された。謎のイケメン薬売りを主人公としたオムニバス作品で、浮世絵などの技術を取り入れたアニメーションなどで、当時は熱狂的な人気を博していた。
そんなTVアニメ版「モノノ怪」に、キャラクターデザインや総作画監督として関わっていたのが橋本氏。まさに作品のデザイン的な部分を担ってきた人物で、新作劇場版「モノノ怪」にも、主要スタッフとして参加するものと思われていた。
しかし橋本氏は先日、自身のツイッターで劇場版「モノノ怪」に関わっていないことを暴露。どうやらプロデューサーや社長と衝突してしまったようで、一連のツイートでは生々しい裏事情が語られていた。
パチやるのは良いけどさ、俺が腹立って降りた後の画は10ヶ月も立っても未だにキービジュもでないってことは難航してるんですな。展開も知ってたけどダイジョブかいな?
— 橋本 敬史 (@norider1965) June 18, 2022
プロデューサーが反論して泥沼化!?
そんな告発ツイートを受けて、プロデューサーの山本幸治氏が『note』で反論。この記事の中では「大前提として、橋本敬史さんはアニメ業界の宝」としながら、橋本氏が肉体面と精神面の両面で、健康に問題を抱えていたと説明。中村健治監督への不満を漏らすようになったり、矛盾した発言をすることが続いたと明かした。そして最終的には、橋本氏自身の判断で、劇場版「モノノ怪」のスタッフから降りることになったのだという。
しかし騒動はここで終わらず、橋本氏はツイッターで猛反論。《アル中みたいに導きしつこく書いてますが、そうではなく薬の副作用なのです。いつも仕事で興奮して寝れなくなるのでお酒は嗜んでリラックスしてるのですよね》《決して依存はしてませんし、あの降板以降体調もすこぶる良くなり薬の量も劇的に減りましたよ》などと、事実と異なる点があることを訴えた。
たしかに山本氏の「note」は、一見相手の立場に寄り添った文面のように見える。ただ、何が橋本氏を追い詰めたのかについては触れておらず、まるで“勝手におかしくなって降りた”と主張しているような印象も。結局のところ、いずれの言い分も鵜呑みにはしがたい状況だ。
どちらにしても、橋本氏が劇場版『モノノ怪』から降りてしまったのは事実。SNSなどでは《もはや別物と割り切った方がいいのか…》といった声も上がっているが、TVアニメ版「モノノ怪」のような作品は期待しない方が良いかもしれない。
そもそも裏の事情はどうあれ、橋本氏抜きで「モノノ怪」を新しく作る意味はあるのだろうか。いっそのこと、全く別の作品を作った方が良いのではないだろうか…。
文=大上賢一
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