『Dr.STONE』完結に“お色気枠”消滅…2022年上半期の『ジャンプ』ニュース

『Dr.STONE』完結に“お色気枠”消滅…2022年上半期の『ジャンプ』ニュース

『Dr.STONE』完結に“お色気枠”消滅…2022年上半期の『ジャンプ』ニュース (C)PIXTA

『ONE PIECE』や『呪術廻戦』など、国民的人気漫画が多数掲載されている『週刊少年ジャンプ』。打ち切りなどによって連載ラインナップは目まぐるしく変わっているが、2022年上半期にもさまざまな変化があった。その移り変わりを振り返ってみよう。

円満に完結した中堅連載

■癒し枠『破壊神マグちゃん』が完結
2月7日に発売された「ジャンプ」10号では、上木敬の『破壊神マグちゃん』が完結。同作は破壊神・マグちゃんと、女子中学生の宮薙流々との交流を描いた作品。ほのぼのギャグとハートフルなストーリーで親しまれたが、2年近い連載を経て完結を迎えた。

同作が連載されていた時期は、『呪術廻戦』や『チェンソーマン』など、ダーク色が強い作品が主力。そこで「破壊神マグちゃん」はある意味で癒し枠として愛されていたため、完結を惜しむファンが多かったようだ。

なお日常系漫画の最終回は、“これからも楽しい日々が続く”エンドになりがち。しかし同作は、寿命が異なるマグちゃんと流々の運命が正面から描き出され、《最終回があまりにも温かい》《マグちゃんはやはり破壊神だった…見事に涙腺が壊されたよ…》と絶賛の声が続出していた。

■『Dr.STONE』が5年の歴史に終止符
メディアミックスが盛んに行われ、看板作品として約5年も誌面を支えてきた『Dr.STONE』は、3月7日発売の「ジャンプ」14号で幕を閉じた。

同作は『アイシールド21』などを手掛けた原作・稲垣理一郎と、青年誌で活躍していたBoichiのベテランタッグによる漫画。文明が滅びた世界で「月」を目指すという突拍子もない設定ながら、実際の科学知識が散りばめられ、大人から子どもまで夢中にさせたことは言うまでもない。

アニメ化もされたヒット作であり、連載ラインナップでいうと『僕のヒーローアカデミア』クラスの格。しかし『ONE PIECE』や『呪術廻戦』も含めて、物語の完結を匂わせる看板漫画が次々と出ているため、「Dr.STONE」完結によって「ジャンプ」の未来が心配になってしまった人も多いという。

“ドベンジャーズ”とも呼ばれた作品群

■『アヤシモン』打ち切り
5月30日発売の「ジャンプ」26号では、任侠漫画『アヤシモン』が打ち切りに。同作の作者は、「ジャンプ+」の大ヒット作『地獄楽』を手掛けた賀来ゆうじなのだが、いくら名が売れていても、アンケート至上主義といわれる本誌では忖度なしの扱いを受けてしまうらしい。

「アヤシモン」は裏社会を牛耳る極道が、すべて妖怪だった…という設定のダークファンタジー漫画。設定の面白さだけでなく、ハイレベルな画力でも読者を圧倒した。しかしここ数年は『呪術廻戦』や『鬼滅の刃』に影響を受けたのか、似たような作風の漫画が乱立していたため、存在感が薄れてしまった印象だ。

連載開始から10週ほどで失速し、全25話で物語が完結している。

■「恋ピ」作者の打ち切りコメントに物議
「アヤシモン」の一週後、6月6日の「ジャンプ」27号ではギャグ漫画『守れ!しゅごまる』が打ち切りを迎えた。

同作は、大惨事を引き起こすボディーガードの鉄虎守護丸と、財閥の令嬢・王城さなぎによるドタバタコメディ。作者の伊原大貴は、「ジャンプ+」にて『ONE PIECE』の公式スピンオフ『恋するワンピース』を大ヒットさせた、実力派のギャグ漫画家だ。

しかし「守れ!しゅごまる」ではぶっとんだギャグが真価を発揮できなかった印象。その後、持ち味であるマニアックなパロディーネタを盛り込むも、かえってライト層から見放されてしまったのか、約10週で人気が低迷している。

打ち切りとなった後、伊原はツイッター上で悔しさを綴ったコメントを公開。しかし、その内容を編集部への不満と受け取った読者から、《半分担当に喧嘩売ってるやろ》《余計な一言で一気に株を下げた》と非難が集中。該当ツイートは削除されてしまった。

「ジャンプ」からお色気枠が消失?

■『あやトラ』移籍の衝撃
『電影少女』や『いちご100%』など、「ジャンプ」の伝統として長らく続いてきた“お色気枠”。2020年からは、『To LOVEる -とらぶる-』でも知られる矢吹健太朗の『あやかしトライアングル』がその役割を担っていた。

ところが4月25日から『ジャンプ+』へと移籍となり、事実上お色気漫画が消えてしまうことに…。現在の本誌ではラブコメ枠として『アオのハコ』が盛り上がっているが、まったくセクシーな描写はない。

「あやかしトライアングル」は初期こそ控えめだったものの、後期にはお色気要素が爆発。とくに性に興味津々な幼馴染み・花奏すずが“特級呪霊”のように暴走し、人気が出始めていた印象だ。むしろその方向性が過激すぎたがゆえに、17歳以上の年齢制限指定がある「ジャンプ+」へと飛ばされたのかもしれない。

以上のように、長く連載されていた作品が次々と終了し、現在の「ジャンプ」では新人作家の存在感が強くなっている。次なる吾峠呼世晴は、いつ現れるのだろうか。

文=野木

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Khosro / PIXTA