アニメ『チェンソーマン』と『呪術廻戦』の違いは? 同じMAPPAなのに明暗クッキリ

アニメ『チェンソーマン』と『呪術廻戦』の違いは? 同じMAPPAなのに明暗クッキリ

『チェンソーマン』11巻(藤本タツキ/集英社)

2022年秋アニメの覇権と目されていたアニメ『チェンソーマン』(テレビ東京系)が、まさかの賛否両論を招いている。制作会社『MAPPA』に対して、不信感を吐露する原作ファンも少なくない。このような波乱が巻き起こったのは、“期待と現実のギャップ”が大きすぎたためだろう。

高すぎた期待のハードル

ここ数年、『鬼滅の刃』をきっかけとして『週刊少年ジャンプ』作品を原作としたアニメが次々ヒット。未曽有のジャンプアニメブームとして騒がれているが、その一端を担っていたのが、他でもない「MAPPA」だ。

「MAPPA」が制作を担当した『呪術廻戦』は2020年10月から第1期が放送され、“ネクスト鬼滅”として大ヒット。さらに2021年12月に公開された『劇場版 呪術廻戦 0』は、国内興行収入が137.5億円を突破するほどの成功を収めた。

そんな信頼と安心の「MAPPA」が、原作の時点で評価が高い「チェンソーマン」をアニメ化するということで、誰もが大きな期待を寄せていた。またもや「鬼滅の刃」や「呪術廻戦」に続く社会現象が起きると、誰もが確信していたはずだ。

ところがいざアニメが放送されると、第1話から原作ファンたちの反応は賛否両論。アクションシーンが原作とは違う引きのカットになっていたり、声優の演技が監督に指示によって抑制気味だったりすることに、不満の声が上がってしまった。

朴性厚監督が作り上げたブランド力

「MAPPA」によるアニメ化が原作ファンに不評だったのは、「チェンソーマン」にかぎった話ではない。諫山創原作の『進撃の巨人』においても同じことが起きていた。

アニメ「進撃の巨人」はもともと『WIT STUDIO』が制作を行っていたが、第4期にあたる『The Final Season』から「MAPPA」へとバトンタッチ。しかし「WIT STUDIO」版のクオリティが高すぎたためか、海外ファンを中心として、CGの多用やアクションシーンの迫力不足などを批判されている。

そんな2作品と比較すると、「呪術廻戦」は国内外で大いに絶賛されており、別格といった印象。むしろ「MAPPA」が実力のあるアニメ会社だという評判は、ほぼ同作によって築かれたものだろう。

「呪術廻戦」の監督を担当しているのは、アニメ業界でも評価が高い朴性厚氏という人物。これまでに『牙狼〈GARO〉-VANISHING LINE-』の監督や、『ゾンビランドサガ』の絵コンテ・演出などを手掛けている大ベテランだ。

「チェンソーマン」の監督・中山竜氏はアニメーター出身であり、今作が初の監督作品だという。そう考えると十分なクオリティなのかもしれないが、アニメファンの期待は“さらに上”だったのだろう。

朴監督が高みへと持ち上げた「MAPPA」ブランドを背負える人材は、この先現れるのだろうか。

文=Tら
写真=まいじつエンタ