神漫画から駄作に…“引き伸ばし”がヒドイ『サンデー』漫画ベスト3

神漫画から駄作に…“引き伸ばし”の犠牲になった『サンデー』連載作品ランキング

神漫画から駄作に…“引き伸ばし”の犠牲になった『サンデー』連載作品ランキング (C)PIXTA

週刊漫画誌などで横行している、人気を長引かせるための“引き伸ばし”行為。これによって作品のクオリティが右肩下がりとなり、駄作となってしまうことも珍しくない。今回はとくに引き伸ばし失敗の傾向が強い『週刊少年サンデー』の作品にフォーカスしてみよう。

<3位>『神のみぞ知るセカイ』若木民喜

『神のみぞ知るセカイ』は、2008年から約6年にわたって連載されていた作品。「ギャルゲー」の設定を現実世界に持ち込むというユニークな設定で、ヒロインを攻略対象に見立て、恋に落としていく物語だ。

“ギャルゲーオタク”の主人公がヒロインを理詰めで攻略していく…という展開はこれまでのラブコメにはない要素。さらに魅力的なヒロインが多数登場することもあり、連載が始まった当初は新時代のラブコメとして大いに期待されていた。

2010年から、3期にわたってTVアニメ化されたところを見ても、作品として大成功だったことは間違いないだろう。しかし途中からクオリティ低下が指摘され始め、とくに「過去編」は賛否両論を巻き起こすことに。

読者の間では、《途中から引き伸ばしがひどかった》《ラブコメ最高傑作は神のみぞ知るセカイ(ただし女神篇まで)》《名作になる可能性が高かったラブコメを凡作に落とすサンデー編集部なんなんだ》といった声も少なくない。

<2位>『絶対可憐チルドレン』椎名高志

『絶対可憐チルドレン』は、『GS美神 極楽大作戦!!』で知られる椎名高志による連載作品。約16年にわたって続き、単行本は全63巻という超大作だ。ところが、主にファンから評価されているのは15巻までだった。

同作はトップクラスの超能力を持つ少女3人が、国家組織に属するチーム「ザ・チルドレン」として難事件を解決していくSFコメディ。「ザ・チルドレン」メンバーの成長に合わせて、小学生編・中学生編・高校生編で構成されている。

そして15巻までが小学生編にあたるのだが、原点にして頂点だと高く評価する読者が多い模様。ネット上では、《小学生編は名作だと思う》《少年漫画としてなら15巻まででいいな~絶チル》《15巻までは間違いなく名作なんだよ絶チル。なんでどんどん人に勧めづらくなっていくんだ絶チル》などと言われていた。

物語として中学生編や高校生編が不要だったというわけでもないのだが、どこか“蛇足感”を与えてしまったらしい。

<1位>『犬夜叉』高橋留美子

高橋留美子といえば、『うる星やつら』や『めぞん一刻』といった名作を生み出したレジェンド漫画家。現代的な作風の『犬夜叉』でも大ヒットを飛ばしたが、その内容に不満を覚えるファンも多いという。

同作は戦国時代を舞台として、妖怪に力をもたらす「四魂の玉」をめぐる冒険を描いた作品。1996年から約12年連載され、全56巻という大長編となった。

これほどまでに長く続いたのは、宿敵として登場した奈落の存在が大きいだろう。彼は主人公・犬夜叉と何度も相まみえるが、そのたびに逃げてばかり。奈落が本編中で逃亡した回数は、なんと20回以上。結果として、大長編が出来上がったわけだ。

テンプレのように繰り返される物語に飽きてしまった人からは、《ずっと奈落が逃げまくってた記憶しかない》《奈落関係の話が遅々として進まない。何回逃げんねんお前は、はぐれメタルかよ》《奈落は逃げすぎだし、序盤と最終盤以外は見なくても何とかなる》といったツッコミが寄せられている。

どこまでが作者自身の意志で、どこからが大人の事情による引き伸ばしなのか…。おそらくは業界のタブーであり、それこそ神のみぞ知る世界なのだろうが、漫画家の名誉のために明かしてほしいところだ。

文=野木

【画像】

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