ジャンプ“ギャグバトル”の伝統は寒い?『マッシュル』戦闘シーンをめぐって賛否

ジャンプ“ギャグバトル”の伝統は寒い?『マッシュル』戦闘シーンをめぐって賛否

ジャンプ“ギャグバトル”の伝統は寒い?『マッシュル』戦闘シーンをめぐって賛否 (C)PIXTA

『週刊少年ジャンプ』の王道を突き進んでいる大人気バトル漫画『マッシュル-MASHLE-』。2023年4月のアニメ開始にも注目が集まっているが、ここ最近の展開について「ギャグバトルが寒すぎる」と言われてしまっている。

絶望的な展開を打破した主人公・マッシュ

「マッシュル」は、「ジャンプ」2020年9号より連載されている“筋肉×魔法”バトル漫画。魔法が存在する世界において、主人公のマッシュ・バーンデッドが自身の筋肉だけで未来を切り拓いていくストーリーだ。

ここ最近描かれてたのは、作中最大の敵とされる「無邪気な淵源(イノセント・ゼロ)」という闇の集団との戦い。仲間たちが次々と敗北し、絶望的な空気が漂うなか、ついに遅れて駆けつけたマッシュが強敵・ドゥウムと対峙する…という展開だった。

それまでの緊迫した雰囲気から一転、マッシュはギャグめいた方法でドゥウムを圧倒していく。

たとえば第140話では、“究極の脱力状態”で相手の攻撃を避けるたびに、よだれがドゥウムの顔に飛んでいくシーンが。

さらに回避不可能と思われた技に対して、体操競技の技である「脚上挙支持」(C難度)を放つことで難を逃れた上、「伸腕屈伸力倒立」(D難度)を繰り出すと、瀕死だったはずの味方たちが審査員となり「10点」の札を一斉に挙げるのだった──。

ジャンプ漫画の伝統芸

「無邪気な淵源」との戦いを描いた章では、仲間たちが死亡する寸前まで追い込まれており、シリアスな空気に満ちていた。

その空気を和らげるためか、マッシュの戦闘シーンではギャグが多めになっていたが、“やりすぎ”だと考える読者も多かったようだ。

SNSなどでは、《悪ノリがすぎてバトルに緊張感がない》《熱いシーンでもギャグやるから冷めるんだよなぁ…》《主人公のバトルになるとギャグすぎてつまらなくなるのは欠点すぎる》《ボーボボやりたいのかワンパンマンやりたいのかどっちつかずな展開ばっか》といった意見が上がっていた。

しかし、こうしたギャグとバトルを混ぜ合わせた描写は、昔から「ジャンプ」に受け継がれてきた伝統とも言える。その頂点とも言えるのが、『ONE PIECE』だ。

ストーリー上屈指の盛り上がりを見せたカイドウとの戦いでは、ルフィが悪魔の実が持つ本来の能力を発揮させ、「ギア5」に覚醒。触れるもの全てが伸縮自在のカートゥーン調となり、カイドウの目がトムとジェリーのように飛び出るなど、ぶっとんだバトル展開が描かれた。

また、同作の作者・尾田栄一郎はギャグバトルの作風を、師匠である『ジャングルの王者ターちゃん』の徳弘正也から受け継いだとも言われている。徳弘もまた、シリアス描写の最中にギャグを盛り込んでくることで有名だ。

とはいえ、カイドウvsルフィですら、空気感がぶち壊しになることを批判する声がちらほら上がっていた。シリアスとギャグのバランスをよほど上手く操らないと、読者をしらけさせてしまう、D難度の技なのかもしれない…。

文=「まいじつエンタ」編集部

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