『HUNTER×HUNTER』は王位継承編でぶっ壊れた!? やりすぎパワーインフレの末路

『HUNTER×HUNTER』は王位継承編でぶっ壊れた!? やりすぎパワーインフレの末路

『HUNTER×HUNTER』37巻(冨樫義博/集英社)

『HUNTER×HUNTER』のバトルを魅力的にしているのは、やはり念能力の存在だろう。最新エピソードである「王位継承編」でも、バリエーション豊かな念能力者が描かれている。

しかし、あまりにパワーインフレが加速したことで、戦闘力の“バランス崩壊”も懸念されているようだ。

念能力の素人だったハズなのに…

「王位継承編」から登場した新キャラクターで、読者に最も大きなインパクトを与えたのは、「カキン帝国」第4王子のツェリードニヒで間違いないだろう。

当初、ツェリードニヒは念の存在を知らない全くの素人で、自身の私設兵であるテータから念の修業を受けることに。しかし、修行の中で天才的な念の才能を発揮し、ごく短期間で「絶」まで習得していた。

さらに「絶」の修業中には、固有の能力である特質系の「発」を発現することに成功。10秒先までの未来を予知できる上、周りの人間の認識を改変する“幻術”のような能力も兼ね備えている。

作中では強力な「発」を持つ念能力者が何人も登場してきたが、ツェリードニヒの能力は段違いのポテンシャルを誇る。ツェリードニヒ自身はまだ念を習得して間もないため、今後修行を続ければトップクラスの能力者になれるかもしれない。

倒す方法が見つからないチート能力

第1王子のベンジャミンは、私設兵15名を念能力者の軍人で固めているが、その1人であるシカクはとんでもない能力を持っていた。

シカクの能力は、「遊戯王(カルドセプト)」というもの。自分の前にカード型のシールドを展開し、相手の能力を奪う操作系能力のようだ。

詳細は分からないものの、作中最強とも言われるクロロ=ルシルフルの「盗賊の極意(スキルハンター)」のような能力を、ただの私設兵が持っているということになる。

ただ、シカク自身は早々に第9王子ハルケンブルグの能力で肉体を奪われてしまったため、実際にどのような能力だったのかは不明だが…。

また、第2王子のカミーラもインフレ問題の渦中にある1人。その能力「百万回生きた猫(ネコノナマエ)」は、いわゆる「死後に強まる念」にあたる。

カミーラが死ぬと黒猫型の念獣が現れ、相手を手で握りつぶし、その命を使ってカミーラを生き返らせる…というシンプルながら凶悪な能力だ。

カミーラの死が能力発動のトリガーになっているため、相手はカミーラを殺さずに無力化しなければならない。

これまでの章と比べて、加速度的にパワーインフレが進んでいる「王位継承編」。冨樫義博はこの先物語を長く続けるつもりがなく、これで終わってもいいという覚悟で、“ありったけ”をつぎ込んでいるのかもしれない…。

文=「まいじつエンタ」編集部
写真=まいじつエンタ