「H3」打ち上げ失敗に“ロケット系VTuber”が涙…「失敗したら叩く風潮あるから日本」

「H3」打ち上げ失敗に“ロケット系VTuber”が涙…「失敗したら叩く風潮あるから日本」

「H3」打ち上げ失敗に“ロケット系VTuber”が涙…「失敗したら叩く風潮あるから日本」 (C)PIXTA

3月7日、およそ30年ぶりとなる日本の新たな大型ロケット「H3」の打ち上げが失敗に終わり、世間が落胆ムードに包まれている。一部では手厳しい意見も上がっているが、“ロケット工学アイドルVTuber”宇推くりあの見解は異なっているようだ。

ロケット打ち上げ「中止」から「失敗」へ

「H3」は、現在の主力ロケット「H2A」の後継となる予定の次世代ロケット。宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業によって共同開発され、「高信頼性」「低価格」「柔軟性」といった特徴を売りにしていた。

今回の打ち上げは鹿児島にある「種子島宇宙センター」で行われたが、第2段エンジンの点火に失敗し、破壊措置がとられることに。これによって、ロケットに搭載されていた地球観測衛星「だいち3号」も失われている。

「H3」の打ち上げはもともと今年2月に予定されていたが、カウントダウン中にトラブルが検知され、発射延期となっていた。これを「中止」と表現するか「失敗」と表現するか、大激論が交わされていたが、再発射は完全な失敗と言えるだろう。

多額を費やしたロケット打ち上げの挫折に、SNS上では《日本の技術力の衰退の象徴みたいで悲しいね》《日本の技術はこれまでなのかと国民に自信を失わせるに余りある出来事だった》《日本の経済が衰退していってるのが目の当たりにしました》《衛星を乗せていたので損失はいくらになるのかね》といったネガティブな反応が上がっている。

ロケット系VTuberによるお気持ち表明

そんな中で注目を浴びているのが、宇推くりあというVTuberの見解だ。宇推はロケット技術に並々ならぬ知識をもつ“ロケット系VTuber”で、自身のYouTubeチャンネルでは世界各国のロケット打ち上げを実況解説している。

今年2月の「H3」打ち上げ中止にあたって、その過程をわかりやすく解説したことで一躍ブレイク。JAXAから「H3ロケット応援サポーター」に任命され、ますます注目度が高まっていた。

3月7日の再発射もパブリックビューイングで応援していたが、打ち上げ失敗が確定すると、涙ながらにメッセージを発信。日本のロケット開発が他国と比べて厳しい現状にあるとして、「試す予算もないし、失敗したら叩かれるんです」「失敗したら叩く風潮あるから日本」と訴えた。

それに続けて、「たくさん失敗してたくさんそれで得るものがあって次に行くっていう、そういうのが踏めないんだよ中々日本だと」「だから失敗しないように一個一個積み上げてがんばってがんばってがんばってやってるんだよ」「スペースXみたいにたくさん打って、たくさん失敗してってできたら、とてもいいかもしれないけど、それが中々できないから工夫してるの」とも語り、一度の失敗で判断しないように理解を求めていた。

さらに宇推は“お気持ち”として、「失敗や成功だけで語らないで、何がどうダメだったのかひとつひとつ知ってほしい」とも呼びかけている。

そのほか配信内では、「夢じゃないんだよロケットは。夢じゃなくて現実なんです」という言葉も飛び出していた。

今後、国民がロケット開発の“現実”に触れる機会が増えていくことに期待したい。

文=「まいじつエンタ」編集部

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