『ぼっち・ざ・ろっく!』が売れ続けるワケ “なろう系”と共通する王道展開が勝因?

『ぼっち・ざ・ろっく!』が売れ続けるワケ “なろう系”と共通する王道展開が勝因?

『ぼっち・ざ・ろっく!』が売れ続けるワケ “なろう系”と共通する王道展開が勝因? (C)PIXTA

TVアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』の放送終了から約半年が経ったが、いまだにアニメファンたちの熱気は冷めやらない。ここ十年でも稀に見るほどのヒットコンテンツになる勢いだ。

なぜそれほどまでに、同作はファンたちを熱狂させるのだろうか。

コンテンツとしての勝因はなろう系?

ここ最近の「ぼっち・ざ・ろっく!」関連の動向を見てみると、CDやグッズといった関連アイテムの売上が話題を呼んでいるようだ。5月24日に発売されたNEWシングル『光の中へ』は、各音楽チャートで上位にランクインを果たした。

また、キャラクターが続々と『ねんどろいど』としてフィギュア化し、主題歌や劇中歌などを収録した公式バンドスコアには予約が殺到したと話題になった。

さらに2024年春には劇場総集編の上映が決定。“きらら系”作品としては珍しく、スピンオフ作品の連載も予定されている。

「一見すると、よくある萌え系サブカルアニメに見える『ぼっち・ざ・ろっく!』だが、それだけでは終わらない理由が隠されている。物語の構造が“なろう系”に近く、時代に合っているという見方もできる。

冴えない主人公が実は偉大な能力を秘めており、周囲をあっと驚かせる…という展開は、まさしくなろう系。『小説家になろう』や『カクヨム』などで人気を博してるWEB小説との共通点が感じられるだろう。

“令和のけいおん”とはよく言ったもので、現代人に刺さる物語の構造をきらら系日常漫画に取り入れたのが、勝因の1つだと言える」(アニメライター)

“文化祭なろう”という王道展開

異世界転生モノにしても、そこから発展した追放モノや悪役令嬢モノにしても、自分の強みを活かせる環境で成功をつかむという部分は共通している。

「『ぼざろ』は世界観こそファンタジーではないが、その2つの環境を“学校”と“ライブハウス”という形で再現している」(同)

同作の展開は、“ぼっち”の主人公・後藤ひとりが、ライブハウスで持ち前のギターテクニックを披露して一目置かれるというもの。

もちろんそこには「コミュ障で普段は実力が発揮できない」という挫折要素もあったが、だからこそ“ギターヒーロー”としての実力を発揮する展開に爽快感があるのだろう。

そしてアニメ1期のラストでは、学校に舞台が移り、文化祭で“無双”する。作中でも「根暗が文化祭で活躍するって王道展開だし」というセリフがあったが、まさにその通りになった。

古くは『涼宮ハルヒの憂鬱』シリーズの『ライブアライブ』がそうだったが、“文化祭なろう”にはアニメファンの心を強く動かすものがある。

ただ、仮に「ぼざろ」2期が決まり、原作通りの物語になるのだとしたら、ここからはなろう系とはかけ離れた挫折エピソードも描かれることになる。

どれだけ視聴者がストレスに耐えられるか、作品の真価が試されそうだ。

文=「まいじつエンタ」編集部

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