『狼と香辛料』15年ぶり復活に「許せない」 今も尾を引く“集団嫌がらせ事件”

『狼と香辛料』15年ぶり復活に「許せない」 今も尾を引く“集団嫌がらせ事件”

『狼と香辛料』15年ぶり復活に「許せない」 今も尾を引く“集団嫌がらせ事件” (C)PIXTA

2008年頃に大ブームを巻き起こした『狼と香辛料』が、およそ15年ぶりに完全新作TVアニメとして復活を遂げる。詳細な情報が次々と明かされるなか、原作者・支倉凍砂の“黒歴史”にもあらためて光が当たっているようだ。

ライトノベル作家の界隈で起きた大事件

「狼と香辛料」は電撃文庫の大人気ライトノベル。商人のロレンスと狼の化身ホロによる旅路を描いた中世風ファンタジーで、TVアニメ化によって爆発的な人気を呼んだ。

新作アニメは「狼と香辛料」シリーズ15周年のフィナーレ企画として発表されたもので、2024年に放送されるとのこと。6月29日には第1弾PVが公開され、前作と同じキャストでロレンス役を福山潤、ホロ役を小清水亜美が演じることが明らかとなった。

10年以上の時を経てよみがえる名作に、歓喜の声が巻き起こっているものの、中には支倉が起こした騒動を忘れられず、「許せない」というファンも多い。

「その騒動とは、『半分の月がのぼる空』などを手掛けたライトノベル作家・橋本紡が、同業者たちから裏で嫌がらせを受けていた事件です。

橋本は2011年頃、プロの作家たちが共謀し、旧2ちゃんねるで自身への誹謗中傷を書き込んでいると告発。その時は証拠がなかったため、疑惑レベルにとどまっていましたが、2年後に有料サービス『2ちゃんねるビューア』のユーザー情報が流出したことで潮目が一気に変わりました。

流出したユーザーのなかに『神様のメモ帳』などで知られる人気作家の杉井光が含まれており、実際に誹謗中傷めいた書き込みを行っていたことが露呈してしまったのです」(ライトノベル書評家)

2013年8月、杉井は自身の公式サイトで「お詫び」と題した文章を投稿。掲示板で暴言や誹謗中傷を行っていたことを認め、相手の作家や出版社、読者などに対して謝罪を行った。

食い違う双方の言い分…

そしてこの騒動において、杉井と共に名前が挙がっていたのが支倉だった。しかし支倉は杉井と違って、事件への関与を全面的に否定している。

2013年8月28日、支倉はブログ上でこの疑惑について触れると、事実無根の噂だと否定し、《橋本紡氏に対して、徒党を組むか組まないかに関わらず、ネット上で匿名で誹謗中傷などをおこなったり、その扇動をしたことはありません》と語った。

ところがこの釈明について、橋本はツイッター上ではっきりと否定。《僕の認知では、支倉君は第三者ではありません》《支倉君の「釈明」を読んで、現実との乖離に愕然としました。どこまで人は、卑怯になれるんだ、と。》と綴った上、物証としてメールのやりとりが存在することを仄めかしていた。

「各々が自身の見解を語っているので、どちらかに肩入れするのは危険ですが、いずれにしろ、この騒動がライトノベル界隈で大きな波紋を呼んだことは確かです。『狼と香辛料』が大人気作品だったにもかかわらず、2009年以降アニメ化されなかったのは、こうしたいざこざの影響もあるのかもしれません。

とはいえ、今ではもう騒動から10年が経っています。関係者としては、完全新作アニメとして仕切り直せば問題ないという判断に至ったのでしょうか」(同)

『東京2020オリンピック・パラリンピック』で学生時代のイジメが取り沙汰され、大炎上した小山田圭吾も、すでに復帰して音楽界で活躍している。過去に何があっても、再出発する権利は認められるべきだろう。

文=「まいじつエンタ」編集部

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