ウマ娘マネーを無駄遣い…『サイバーエージェント』ゲーム事業が1億円の大赤字

ウマ娘マネーを無駄遣い…『サイバーエージェント』ゲーム事業が1億円の大赤字

ウマ娘マネーを無駄遣い…『サイバーエージェント』ゲーム事業が1億円の大赤字 (C)PIXTA

『ウマ娘 プリティーダービー』の大ヒットによって、株式会社サイバーエージェントの経営はここ数年好調だった。しかし“ウマ娘マネー”の使い道が仇となり、雲行きが怪しくなっており、決算報告に衝撃の声が広がっている。

ゲーム事業の中核をなす『ウマ娘』

7月26日に発表された2023年9月期第3四半期累計(22年10月~23年6月)の連結決算によると、サイバーエージェントのゲーム事業は大幅な減収・減益を記録してしまった。

第2四半期(2Q)では売上高621億円、営業利益152億円を記録していた同社のゲーム事業だが、今期は売上高337億円、営業利益では1億円の赤字となっている。その背景について決算資料では、「収益性の高いタイトルの減収により、大幅減益」と報告されていた。

同社のゲーム事業の中核といえば、やはり傘下のCygamesが運営する「ウマ娘」が代表的だ。今後もその構図は変わらないようで、この先の増収増益に向けた取り組みとして、「ウマ娘」のクロスメディア展開の継続による“10年IP化”が掲げられている。

「増収増益に向けた取り組みとして、2024年にリリースされる『ウマ娘』のコンシューマーゲーム『ウマ娘 プリティーダービー 熱血ハチャメチャ大感謝祭!』も挙げられているが、正直このタイトルは、ファンの需要とかみ合っているとは思えない。

ドット絵で『くにおくん』シリーズのようなゲームになるようだが、『ウマ娘』ファンが求めていたのは、もっと本格的なゲーム。もともと『ウマ娘』自体がカジュアルなゲーム性なので、やり込みがいのあるコンシューマーゲームが期待されていたはず」(経済誌ライター)

ウマ娘マネーを活かせず…

さらに本質的な問題は、『ウマ娘』がもたらした利益が同作に十分還元されていない点だ。

サイバーエージェントは以前から、メディア事業の軸である『ABEMA』に積極的な投資を行ってきた。昨年11月に『FIFAワールドカップ』の無料中継を行ったことで注目を浴びたが、放映権の取得には約200億円が投じられたといわれている。

「ワールドカップの放映権取得に巨額をつぎ込んだサイバーエージェントだが、その資金源となったのは、『ウマ娘』の収益だと言われている。同作は2021年に売上1,000億円を記録したほどの大ヒット作。さまざまな面でサイバーエージェントを救ったのだろう。

だが『ウマ娘』自体は何年経ってもゲーム性が大きく変わらず、後進のソーシャルゲームに立ち位置を脅かされつつある。その現状が、ゲーム事業の赤字にも反映されているのだろう」(同)

参考までに比べると、現在オンラインゲームの覇権を獲得している『原神』は、製作費に約100億円、制作期間約3年4カ月をかけたタイトルと言われていた。もし『ウマ娘』に200億円の資金追加があったなら、世界的な人気ゲームになり得たかもしれない。

「『原神』は中国のゲーム会社・miHoYoによるプロジェクト。中国ではソーシャルゲームに巨額の制作費が費やされている。日本のソーシャルゲームはコストを抑えて作り、ガチャで利益を上げる文化があるので、中国に追い抜かれるのは時間の問題だった」(同)

サイバーエージェントは「ウマ娘」を10年続くIPにすることはできるのだろうか。

文=「まいじつエンタ」編集部

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