中国オンラインゲーム大手の『NetEase Games』が、まったく新しいオープンワールドゲーム『Project Mugen』のトレーラー映像を公開した。衝撃的なまでのクオリティの高さから、『原神』に続くアジアの覇権ゲームとして熱い視線を集めている。
これまでにないオープンワールドの進化
「Project Mugen」は、基本プレイ無料で楽しめるアーバンオープンワールドRPG。トレーラー映像では美しいグラフィックによって、その魅力的な世界観が楽しめる。
キャラクターやフィールドはアニメ調となっており、アジア的でポップなデザインの都市は『ペルソナ』シリーズを連想させる。プレイヤーは「無限トリガー」というコードネームを持つ調査員として、人類の脅威となる超常現象の解決に繰り出されるという。
何よりトレーラー映像で驚かされるのは、自由度の高さ。まるで『スパイダーマン』のごとく、フィールドを立体的に探索できるゲームとなるようだ。
PlayStation.Blogに掲載されたリードプロデューサーの発言によると、《プレイヤーは空中をフィルストフライヤー、スカイスイング、パルクール、壁を登るなどの移動方式で、町を制限なく自由に移動》できるという。
日本を置き去りにした中国のゲーム開発
「アニメ調のオープンワールドといえば、同じく中国のゲーム会社であるmiHoYoが手掛けた『原神』が思い浮かびます。中国のゲーム業界では、『原神』の世界的な大ヒットが1つのモデルケースとなっており、多くの企業を“二匹目のどじょう”探しに駆り立てているようですね」(ゲーム会社関係者)
とはいえ、アニメ調のグラフィックに萌え系のキャラクター、オープンワールドといった要素は、本来日本こそが得意としていたはずのもの。なぜ日本から、『原神』や『Project Mugen』のようなゲームが出てこないのだろうか。
「miHoYoやNetEaseが取り組んでいるのは、いわばオタクをターゲットとしたゲームに、巨額の資金を投入するというプロジェクト。しかしオタク向けゲームに莫大な予算をかけるというのは、日本のクリエイター的にはありえない発想です。
萌え要素を入れておけば、そこまで予算をかけなくても確実にお金を落としてくれる…というのが、日本におけるオタク消費者のイメージでした。だからこそ、有名イラストレーターにおんぶにだっこのガチャ商法が流行るわけです。本気でオタク向けゲームを作るという心意気で、残念ながらすでに日本は中国に負けている節があります」(同)
もちろん、オタク向けでないゲームでは、『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』や『エルデンリング』など、国産の傑作オープンワールドが次々と生まれてはいる。しかし日本の十八番だった“萌え”を活かしたオンラインゲームは、一向に出る気配がない。
独走状態だったのも今は昔、日本のゲーム業界は気づけば中国に追いつかれている。意識を切り替えて、もう一度リスタートを切るべき時が来ているのかもしれない。
文=「まいじつエンタ」編集部
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