スタジオジブリ“日テレ子会社化”で何が起きる? サブスク解禁への期待と「ジブリっぽさ」が失われる危険性

スタジオジブリ“日テレ子会社化”で何が起きる? サブスク解禁への期待と「ジブリっぽさ」が失われる危険性

スタジオジブリ“日テレ子会社化”で何が起きる? サブスク解禁への期待と「ジブリっぽさ」が失われる危険性 (C)PIXTA

日本を代表するアニメーション会社『スタジオジブリ』が、民放テレビ局の『日本テレビ放送網』(日本テレビ)の子会社となる。これによってどんな変化が起きることになるのか、メリットとデメリットについて検討していこう。

ついにジブリ作品がネット配信解禁へ?

日本テレビは10月6日の株式譲渡をもって、スタジオジブリの筆頭株主になるとのこと。現社長の鈴木敏夫氏に代わって、日本テレビの役員である福田博之氏が新社長になるという。

9月21日に行われた記者会見では、鈴木氏が登壇し、子会社化に至った背景について説明。自身や宮崎駿氏が高齢になったことで、後継者問題に悩まされていたと明かしている。

ではジブリが日本テレビの子会社となることで、どんな変化が予想されるのだろうか。

「やはりファンのあいだでは、ジブリ作品の“ネット配信”解禁が期待されているようです。あらゆるアニメが時代の変化に対応するなか、ジブリは頑なに国内でのネット配信を認めていませんでした。

ですが日本テレビといえば、ストリーミングサービス『Hulu』の運営を行っている。そのため子会社化をきっかけに、『Hulu』での配信が可能になるのではないか…と囁かれているのです。

ただし新社長の福田氏は、『Hulu』での配信について未定だと述べています。もしかすると金曜ロードショーで数字を確保するという戦略から、ネット配信が見送りになる可能性もあるかもしれません」(アニメライター)

ネガティブな影響への心配も

また、これまでのジブリは劇場アニメを専門としてきたが、日本テレビとの協力により、初のテレビシリーズ制作に踏み切る可能性もあるだろう。

記者会見において、鈴木氏は後継者問題について言及した際、若手の育成にはテレビシリーズが必要だと仄めかしていた。ジブリは劇場アニメに専念してきた結果、若手クリエイターがテレビシリーズで経験を積むことができず、新たな才能が育たなかったという問題だ。

そのためジブリの未来のためにも、テレビシリーズへの挑戦が行われていくのかもしれない。しかしジブリの子会社化は、なにもポジティブなことばかりではないという。

「ジブリはよくもわるくも、宮崎駿と高畑勲という2人の天才のために存在したアニメ会社です。これまで大企業と距離をとることで、営利主義に染まらず、クリエイターのやりたいことを第一に優先してきました。

日本のアニメとしては異例とも言える、作家性やメッセージ性が強い作品を生み出してこられたのは、そうした小規模スタジオならではの利点と言えるでしょう。

会見では日本テレビは経営に専念し、ジブリに制作を任せると説明されていましたが、この先も作家第一のあり方を守っていけるかは疑問ですね」(同)

さまざまなメリットとデメリットが考えられる。今後の動きにも注目していきたい。

文=「まいじつエンタ」編集部

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metamorworks / PIXTA