人気漫画『呪術廻戦』は、ほとんどのキャラクターが救いのない末路を遂げる。そのなかでも天内理子は悲劇のヒロインの筆頭であり、アニメ2期「懐玉・玉折編」では多くの視聴者たちに衝撃を与えた。
しかしネット上で、彼女にとある奇妙な説が囁かれている。「特級呪霊に生まれ変わった」と考察されているのだ。
※『呪術廻戦』原作の内容に触れています
まず前提から説明すると、同作において呪霊の発生にはいくつかの法則がある。その1つが、呪力によって呪術師を葬らなかった場合、死後に呪霊化してしまうというものだ。
これは仮説で終わらず、作中では具体的な事例も。呪術師である禪院直哉が、呪力を持たない禪院真希の母親に倒された後、第190話で特級呪霊と化して復活するエピソードがあった。
そこで浮上したのが、理子が死後に呪霊化したという説。彼女も直哉と同じく、呪力を全く持たない「フィジカルギフテッド」の伏黒甚爾に命を奪われている。「星漿体」と呼ばれる存在が、呪術師に分類されるとすれば、呪霊化の条件は満たしているはずだ。
さらに読者のあいだでは、呪霊化した理子がすでに作中に登場しており、それこそが特級呪霊・陀艮(だごん)ではないかと考察されている。
偶然とは思えない? 理子と陀艮の共通点
陀艮は物語序盤から、羂索や真人と行動を共にしていた特級呪霊であり、一見すると理子とは何の関係もなさそうだ。
しかし実は両者には、多くの共通点がある。たとえば、生前の理子はしゅんとした際に、口をすぼめるような反応を見せていたが、そのコマが陀艮の口元にそっくりだと言われているのだ。
これだけだとこじつけだと思われるだろうが、さらにアニメ1期18話の「じゅじゅさんぽ」では、陀艮がセーラー服とベールのような被り物を身に着けていた。
この制服のデザインは、理子が生前に通っていた廉直女学院のものと酷似している上、ベールも理子の特徴である白いヘアバンドによく似ている。
そして、陀艮の生得領域はおだやかな南国のビーチのような風景で描かれており、領域展開を行った際にも、南国のような世界が顕現していた。
これは理子が死亡する直前まで、沖縄で特別な時間を過ごしたことに関係しているのではないだろうか。
天内にとって、沖縄で五条悟や夏油傑と過ごした時間は、人生最期の青春でもあった。彼女にとって特別な思い出だったことは間違いない。
また理子は水族館で魚を気にかけており、陀艮もまた水棲生物の式神を召喚できた。
なお、陀艮は仲間想いの呪霊であり、花御が倒された際には深く悲しんでいる。理子もまた、唯一の家族である黒井美里を非常に大切に思っていたため、身内を愛する性質も両者の共通点と言えるだろう。
なにより、陀艮は最終的に甚爾によってトドメを刺された。皮肉にも理子と同じ末路であり、偶然だとすればたしかに出来すぎと言えるかもしれない。
もし本当に理子と陀艮が同じ存在だったとしたら、あまりに救いがなさすぎて「人の心とかないんか?」と疑ってしまう。そんなことはないはずだと信じたいが…。
文=野木
写真=まいじつエンタ