「完全にファイアパンチでしょ」藤本タツキ『チェンソーマン』第2部“火の悪魔”にファン騒然

「完全にファイアパンチでしょ」藤本タツキ『チェンソーマン』第2部“火の悪魔”にファン騒然

『チェンソーマン』15巻(藤本タツキ/集英社)

10月18日、藤本タツキが手掛ける人気漫画『チェンソーマン』の第146話「チェンソーマン戦争」が『少年ジャンプ+』にて配信された。そこで『ファイアパンチ』に通じるような設定が突如飛び出したことで、ファンたちに大きな波紋が広がっている。

※『チェンソーマン』最新話に触れています

これまでの話をおさらいすると、「戦争の悪魔」を宿した三鷹アサは、デンジとの戦いを避けるべく、チェンソーマンを信奉する「世界平和チェンソーマン教会」に加担。そこに公安の捜査が入り、組織が壊滅の危機を迎えつつあった。

しかし最新話では、公安によって追い詰められていた教会が奥の手を披露し、各地で反撃の狼煙が上がっていく。そもそも教会の信者たちは「正義の悪魔」との契約者とされていたが、それは嘘であり、実際には「火の悪魔」と契約を行っていたという。

「火の悪魔」と契約を結んだ者は、自身が望んだ姿になることができるという設定。そして「ファイアパンチ」は、消えない火に焼かれ続ける男・アグニを主人公とした物語であり、全編通して「なりたい自分」という一貫したテーマがあることでも知られている。

そのためSNS上の藤本タツキファンたちは《完全にファイアパンチでしょ》《明らかにセルフオマージュ》と盛り上がっているようだ。

着々と進んでいた「ファイアパンチ」化

実は「チェンソーマン」第2部では、「火」や「なりたい自分」といった要素以外にも、意味深な共通点を指摘することができる。

「ファイアパンチ」ではアグニが復讐劇を繰り広げるなかで、彼を熱狂的に信仰する「アグニ教」が確立していった。これはチェンソーマンを信奉し、「火の悪魔」を擁する「世界平和チェンソーマン教会」の動きと通じるところがあるだろう。

さらにこれ以前、第107話には「チェンソーマン」第2部と「ファイアパンチ」のクロスオーバーを匂わせる要素があった。「デビルハンター部」の一員として、亜国セイギというキャラクターが登場したのだが、その名字が“アグニ”と読めることが話題を呼んだのだ。

大ヒットを記録した「チェンソーマン」に対して、「ファイアパンチ」は賛否両論が激しく、コアなファン層を獲得している作品。「チェンソーマン」第1部の連載時から、ネット上では“内なるファイアパンチ”が出てくることを心配する声が上がっていた。

しかし藤本タツキ自身、そうした声を認識していたのかもしれない。読者の心理を逆手にとることを得意とする作家なので、反発されることを承知の上で、あえて“ファイアパンチ化”を進める計画を練っていたとしてもおかしくはない。

読者のあいだでは、チェンソーマンvsファイアパンチという構図が生じることも予想されているが、この先どんな展開が待っているのだろうか。

文=野木
写真=まいじつエンタ